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ご、合格って

何のことですか

マルゴさんが、オレの制服のズボンに付いた泥をはたいてくれた

そしてオレに微笑んで言う

詳しいことは、寧の所へ戻ってから話すよ

途中でピングレのジュースを買ってマルゴさんと一緒に、屋上へ戻る

水飲み場で手も洗った

吉田ちゃん、ごめんねぇっ

奈島センパイは、笑ってオレに手を合わせる

はいっ、これがペンダントですで、こっちがピングレ

オレは何かよく判らないけれど、とにかく物品をセンパイに手渡す

おおっありがと、ありがとっ

センパイはジュースは傍らに置いてペンダントは、ギュッと両手で抱き締めた

金の十字架に、チュッと可愛いらしい唇を寄せる

やっぱりあれ、大切な物なんだ

何でそんな物を、投げ落としたりしたんだ

うふふん人を試すんだもの、やっぱり自分が本当に大事にしている物を使わないと申し訳無いでしょっ

オレの表情を察して、奈島センパイがそう言う

試す

試されていたんだオレ

とにかく、座ってパンでも食べながら話そうか

マルゴさんが、そう提案した

オレたちは、廃棄予定の椅子を引っ張ってきて座る

あたしたちと弓槻先生の間には、取り決めがあってね先生が新しいメンバーに選んだ人間には、必ずあたしたちの承認テストを受けてもらうことになっている

紅茶のペットボトルを飲みながら、マルゴさんはそう説明してくれた

あたしたちが承認しない限りは、新しい子はメンバーにはなれないのよっ

フレンチトーストをパクつきながら、奈島センパイもそう言う飲み物は、当然、ピンク・グレープフルーツ・ジュースだ

あたしたちって言っても、あたしと寧と克子さんの三人だけだけどね岩倉さんはあたしたちとは別枠だから

やっぱり、不良組と岩倉さんの間には壁があるらしい

ブッチャケて言うとさっ弓槻先生も色々と失敗してきているのよっいつも先生の計算通りに物事が進むとは限らないからさっ

どうしても誤算はあるだから、新メンバーのチェックは二重三重に行っているんだ

ほらっ、さっき教室で二年前の事件の話をしたでしょ二年前にさ、弓槻先生が男のチンポ奴隷として音楽の男性教師をメンバーに引き入れたわけっとっころが、そいつが先生が見ていないところで暴走しちゃってさ

その頃は、まだ旧校舎が取り壊される前だから監視システムが完成していなくてね

で弓槻先生の知らないところで、勝手に女生徒をレイプしてね

ああ、合唱部の

あっ、あたしじゃないよっあたしは、まだ処女だからっでも、マジでヤバイとこまではいったのよねぇホント、マルちゃんが助けに来てくれなかったら、あたしもヤられちゃってたと思う

彼を黙らせるためには、半身不随にするしか方法が無かった今でも幻覚効果のある薬を使って、現実と妄想の区別がつかないようにしているんだ彼の口走ることは、全部彼の妄想で、弓槻先生とは一切関係ないってことにするために

そ、そうなんだ

それはまた、何とも恐ろしい

結局さただの変態男とか鬼畜趣味とかじゃダメなのよっあたしたちのメンバーはさ

最低限信頼できる相手かどうか、見極めないとね

うんうんそうだよね、やっぱりっ

だけど弓槻先生は、変な趣味の人を見つけてくるのは上手いんだけど

あの人、人間の善し悪しが判らない人だからさっ

うん、確かに彼女は人を見る目が無いよね

特に男を見る目が壊滅的に無いっ

あ、あの、奈島センパイ

どうしたのさっ、吉田ちゃん、そんなに畏まっちゃって

多分、この会話も弓槻先生、聞いていますよね

当ったり前じゃん聞いてるから、あたしたちは言っているのっ

君も覚えておくといいよ先生に文句を言いたい時は、こうやって言えばいい

だ、大丈夫ですか

平気だよっこのくらい、いつも言ってるもんねぇ

まあ、先生も自分で反省していることだからね

こ、来ないよな急にここに

大丈夫、大丈夫っ先生はこの時間は、別の件で忙しいからっ

わざわざ嫌味を言いにここまで来るヒマは無いと思うよ

ならいいんだけど

ということでさ君はずっとあたしたちに審査されていたってわけっ

ドゥ・ユー・アンダスタァン

うんそれは、よく判った

意図も目的も

そしたら、ちょっと聞き取り調査したいんだけどいいかなっ

あはいどうぞ

奈島センパイの尋問が始まる

じゃあ、まずさっき、あたしにペンダント取って来いって言われたでしょそんなことを急に言われてさ、めんどくさいなぁとかかったるいなあとか、思わなかった

だって、センパイの大切な物なんでしょそれ

でも、あたしいきなり外に投げ捨てちゃったんだよっ

それは変だなあって思いましたけどでも、センパイはお祖父さんに貰った大切なペンダントだって言ってたから

あたしが嘘を吐いているかもしれないじゃないそういうことは、考えなかったの

そりゃあ、ちょっとは考えましたけどでも

取って来てあげた方がいいんだろうなって思ったから

あたしが意地悪しているだけかもしれないじゃないっ

それならそれで仕方ないじゃないですか別にオレが身体を動かす分はタダだし、センパイに取って来いって言われたらどこでも行きますよ

オレは率直に答えた

まあ、奈島センパイに言われたら大抵のことはやるよなオレ

でも全力疾走だったよね、君

マルゴさんも尋問に加わる

どうしてだい別にあんなに急がなくても構わないじゃないか授業中だし、裏庭の花壇に人が来ることなんてまず無いだろゆっくり階段を下りて行ってもよかったんじゃないかな

でももしもってこともあるしそれに、本当に大切な物なら、早く持って行ってあげた方がいいかなって思って

途中で寧が言っていた、ピンク・グレープフルーツ・ジュースの自動販売機があったよね

君は、どう思った

帰りに買っていけばいいかなって

寧は途中で買って来てって言ったよね

でも、ほら落っこちたペンダントの方が心配だし

マルゴさんが、奈島センパイを見て頷く

問題ないね緊急時に余計な命令を足したのに、混乱していないちゃんと、優先順位が判っているし、合理的に処理する能力も持っている

うん思っていた通りだねっ

奈島センパイが、オレを見てニコッと微笑む

吉田ちゃん君、やっぱり壊れているっ

こ、壊れている

オレが

まあ、確かに完全だとは思っていないけれど

昨日のことを覚えているかな街の風俗街のど真ん中で、君と寧を二人だけでチンピラ四人組の所に行かせただろ

あ、はい覚えてます

あんな怖いこと、忘れられるはずがない