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藤宮さんそれ、どういうことっ

もっと、程度の低い男子のいる学校なら関さんぐらいの美貌の持ち主なら、なりふり構わずアタックしてくる子も多いでしょうね

藤宮さんの代わりに渚が答える

そういう子は、最初っから勉強でも運動でも関さんには敵わないって判っているんですから関さんみたいな才媛に憧れて、ダメ元でも一か八かに賭けるっていう子は、割といると思うわよ

逆に関さんの様な高嶺の花を、騙してでも毟り取ってやろうという下劣な男もいるでしょうしね

藤宮さんが、そう付け足す

しかし関さんが学ばれた大学や、留学先は超一流のエリートしかいませんからそういう所の男たちにとっては関さんはライバルというより、むしろ目の上のタンコブでしょう

ククッと笑う、藤宮さん

エリートで将来が嘱望されていて、能力のある男性はプライドも高いです関さんの存在は、その方たちのプライドを傷付けるだけで

香月セキュリティ・サービスに入社なさった後も、言い寄ってくる人はいなかったの社内には、関さんよりも能力のある男性はいるでしょう

関さんは香月セキュリティ・サービスのトップ・エリートの最高峰、香月様の三人の直衛警護人のお一人ですから

藤宮さんが、答える

つまり他の連中はみんな、関さんよりも立場が下ってことか

しかも関さんは、入社後半年でその地位まで昇り詰めてしまわれましたし

ああ、関さんは本当に能力は抜群の人なんだ

こうして見ていると、面白いお姉さんなのに

ころころ表情が変わってとっても、愉快だ

直衛警護人の他のお二方は

大徳さんも、張本さんも男性しか愛されません

渚の質問に、藤宮さんが答える

ホモかホモなのか

お二人で、深く愛し合っておられますそういう方たちとチームを組んでいらっしゃいますから社内の男性たちは、関さんとはなるべく近付かないようにしています

藤宮さんの説明に、関さんが暴発する

ああっ、もういいわよっどうせ、わたくしはモテない女ですっ

逆ギレする関さん

あたしのことなんて、どうでもいいわよっそういう藤宮さんは、どうなのよ

わたくしは、ずっと剣一筋の女でございますから

だから処女なのか

そう言うと何だか、格好良く見えるけれど

あなたのは剣じゃないでしょ撲殺女

失敬なわたくしにとっては、これも剣です

藤宮さんは、撲殺ステッキを構える

剣一筋って男から、相手にされないだけじゃないっ

わたくしの方から、男性を遠ざけるようにしているんですっ

あーら、言葉は言いようねっだから、いつもそんなおかしな格好をしているわけ

英国趣味は、わたくしの人生のメイン・テーマですっ

とにかく藤宮さんも、男からは敬遠されるタイプだよな

デートに誘おうと思っても

藤宮さんの方が、颯爽と英国紳士の出で立ちで現れるんだろうし

男よりも、徹底して男装がキマっている女性って

うん一緒に歩くのは大変だよな

二人とも、すごい美人なのに

何て、もったいないコンビなんだ

はいはい、ケンカはしないでねめんどくさくなるから

渚が、二人を止める

うん、年の近い渚でないとこの二人は捌けない

そうですねこんな人を相手にしている場合では、ございませんね

藤宮さんは、みすずを見る

みすず様わたくしたちが処女であるということが、どんな意味を持つのですまさか

藤宮さんの視線が、みすずからオレに向かう

わたくしたちも黒森様の女になれという、ご命令ですか

ビクッとする、関さん

えっな、な、何よ、それ

みすずはふふんと、微笑む

いきなり、あたしたちの家族になれとは言いませんあたしたちの旦那様が、あなたたちを愛されるかどうか判りませんしあなたたちの意志も尊重致しますただ仲間になっていただけませんかあたしたちの部下でも、臣下でもなく仲間に

みすずは、そう言って二人を勧誘する

仲間でございますか

関さんは言葉の意味が、判らないらしい

はいお二人とも、盗み聞きをなさっていたのですから、すでにご存じでしょうがあたしは、これから香月家の一族や各派閥の重役たちを騙して香月家全体を手中に収めなくてはなりませんもちろん、お祖父様はあたしたちにご協力して下さいますでしょうがまだまだ仲間が足りません

香月様がご命令下さればわたくしは、みすず様に従いますが

藤宮さんがそう、閣下に言う

藤宮さんの魂は、武士だ

主の命には、絶対に従う

いいえ、あたしたちが必要としているのは臣下ではありません仲間ですあたしは、あなたたち二人にご自分の意志で、あたしたちの仲間になっていただきたいと願っています

どうしてですのわたくしも、藤宮さん同様、ご命令でしたら従いますわ

不思議そうに関さんが、みすずに尋ねる

命令されれば従うのになぜ、わざわざ仲間になれというのか

言葉が足りていないようですねごめんなさいあたしはいいえ、あたしたち家族には、臣下はいらないんですあたしたち家族は運命共同体ですだから、全員で協力して幸せになるしかないんです

幸せ

藤宮さんが、ぽつりと言う

はいあたしが香月家を乗っ取るというのは、男性的な野心からではありませんあたしや瑠璃子さんがこの先幸せに生きていくためには、それが必要だからやるしかないのですもちろん、あたしが香月家の当主となった暁には、香月グループに関わる全ての人間が幸せになるように必死に努力しますそのことは、お約束します

みすずは、真剣な顔で話す

あたしたちが求めているものは幸福な生活だけです心を許しあい、いつも笑い合って、家族で安心して暮らすことのできる生活が欲しいんですそこには、臣下は要りませんそういう人が一緒だと常に気を引き締めていないといけないですから

うん判るような気がする

みすずお前、彼女らが盗み聞きすることを最初から判っていたな

閣下が、ククッと微笑む

主は、常に臣下を監視しなくてはいけないしかしそれは同時に、臣下からも監視し続けられることも意味するこれは、主従関係の基本だこの部屋の中で、香月家の機密に関わる会話がされるなら真緒ちゃんにそそのかされなくても、そこの二人は盗み聞きしようとするだろう警護人という立場の臣下なら、当然のことだ

そうか、内密の話で閣下の中でのみすずや瑠璃子の重要度が変わったら

今後の警護体勢に影響する

緊急事態での警護対象の優先順位を変えなくてはならないかもしれないし

新たな警護対象が増える可能性もある

常に閣下の意志の先回りをして、率先して最適な警護体勢を築くのが、関さんたちトップ・エリートだ

閣下に命じられる前に判っていなければならないし行動していなければならない