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あっという間に捕まってしまう

一番体格の良い娘が、背後からオレを羽交い締めにした

あ、姉上

驚く美智

ちょっと保険を掛けさせて貰うわ

工藤遙花は、そう言った

美智と闘っている最中にその女が、変な真似をしないようにね

オレを人質にしてマルゴさんの介入を防ぐつもりか

構わないよどうせ、そんなことだろうと思っていたし

マルゴさんは、平然とそう言った

その背後で、寧さんが雪乃を抱き締めて、ニコッと微笑む

そうかだから寧さんは先に、雪乃を確保したんだ

工藤遙花が、人質作戦を取ることに気付いていて

彼だって黒い森の人間よ覚悟はできているわ

オレは、それぐらいの覚悟は定まっている

美智オレのことは気にしないで、精一杯闘え

美智がハッとして、オレの顔を見る

蹴散らせ、命令だ

美智は戸惑っている

さて、始めましょうか美智

工藤遙花はパンプスを脱いだ

裸足になって、空手の構えを取る

判っているわよねあんたは、あたしに一度も勝ったことが無いこれからも、永遠にそうよ

姉の言葉に美智は、怯えている

どうしてそんなに、姉を怖がっているのか

何か、トラウマがあるんだろうか

さあ構えなさい、美智

美智は震える手で、構えを取る

何やっているんだよ、美智

オレは思わず、そう言った

美智がオレを見る

それは空手の構えだろ

は、はい姉上との対決は、いつも空手ですから

美智は、そう答えた

空手じゃねえだろ

オレは、怒鳴った

お前は、工藤流だっ

美智がハッとする

そうか判った

美智が、何に怯えているのかが

工藤流では姉に圧勝してしまう

工藤遙花のプライドを粉々にしてしまうどころか

姉の肉体を傷付けてしまう恐れがある

美智は工藤遙花が、二度と空手ができない様な身体にしてしまうことが怖いんだ

美智殺す気でやれ

美智が、ブルッと震える

吉田じゃねぇご主人様って呼べ

さっき、みすずに言われたろうみすずが居ない場所ではオレがお前の主人だ

美智はまだ震えている

オレのためにやれ

オレは美智を支配する

そう腹を括る

姉を捨てろお前の家族は、オレとみすずだ

美智の眼が大きく見開かれる

オレとみすずのためだけに生きろっ

美智は

スゥと大きく息を吸い

そして吐く

姉上申し訳ありません

美智の身体の震えが止まる

覇気が溜まっていく

わたくし姉上を殺さなくてはならなくなりました

そう言ってスカートの下に隠した、赤いムチを取り出す

ムチの先端が、空気を切り裂いて、奈落の床を叩く

あ、あんた何やっているのよ

工藤遙花が、驚く

まさかそれを使うつもりじゃないでしょうね

何か問題でも

美智の冷たい眼が姉を見入る

馬鹿なこと言わないでよっあんたとあたしの勝負なら、素手でやるに決まっているでしょう

残念ですが、わたくしは勝たなければなりませんから

武器を捨てなさいその男が、どうなってもいいの

工藤遙花が、オレを取り囲む手下に目配せする

ドシュッ

手下の足下ギリギリに、投げナイフが突き刺さる

今のはわざと外しましたご主人様を解放しなさいでないと

美智はムチを持った反対の手に、別の投げナイフを握っていた

ひ、卑怯よ美智

工藤遙花が、そう言った瞬間

美智のムチが、姉を襲う

ズバシュッ

遙花のピンクのスーツの胸元が切り裂かれた

白いブラジャーが剥き出しになる

遙花の肉体を傷付けることなく正確に服だけを裂いた

美智の技量に誰もが驚く

ご主人様を守らねばならない闘いに卑怯も何もありません

右手にムチ、左手に投げナイフ

もう一度言いますわたくしのご主人様を離しなさい

オレを捕まえていた遙花の手下が手を離す

ゆっくりと4人から離れて美智の背後に廻る

申し訳ございませんでしたご主人様

美智が言った

すぐにこの女は処罰致します

すっかりぐったりして、夕方まで寝込んでいました

そしたら夢の中で

みすずと美智は、Mメグとマナは、S

という、お告げがありました

そうしたら、迷っていた展開がサッと開けました

こんなことも、あるんですね

224.工藤美智

マルゴ様、ご主人様をお願い致します

美智が姉を睨んだまま、そう言う

了解吉田くん、あたしの後ろへ来て

オレはマルゴさんの背後へ

寧さんが、スッとオレに寄って来てくれた

大丈夫だよっ

オレを見て、ニッと微笑む

ミナホ姉さんはジッと美智を見ている

雪乃が、オレの側に近寄って来た

オレの背広の裾を、キュッと握りしめる

雪乃、怖いのか

雪乃が、オレをチラッと見上げ

うるさいわねっ

雪乃は小さく、震えていた

卑怯者武器に頼るなんて、武道家じゃないわよっ

工藤遙花は、ヒステリーを起こしていた

わたくしは武道家ではございませんから

鋭い目で姉を見据える

わたくしは、主を守る楯主の命のままに動く、一振りの剣

スゥハァ

美智の独特の呼吸音が、暗い舞台下の奈落に響く

本来の工藤流古武術とは自らの意志をもたぬ一塊の凶器と化す業でございます

自分の意志を持たぬ凶器

姉上今生の最期に、お見せ致しましょう姉上も、工藤の家に生まれし者ならばこの業の神髄を見ずして死ぬのは、もったいのうございます

そう言って美智は

赤いムチと手投げナイフを床に捨てた

驚く、工藤遙花

改めて素手でわたくしと勝負するつもり

美智は、そんな姉を無視して姉の4人の手下に向かう

掛かって来なさい

スススッと滑るように美智が、4人の前へ進む

4人まとめて仕留めて差し上げます

何の躊躇もなく接近する美智に4人の空手少女はビクッと震える

人間にはね他人に踏み込まれると、反射的に拒絶してしまう距離感というものがあるんだよ

それは基本的に、手を真っ直ぐに伸ばして届く範囲自分の腕のリーチの長さと同じ距離だよ誰でも、その内側に他人に入られることを嫌う生存本能が危険のシグナルを発信してしまうんだ

正に美智が、一人の空手少女の拒絶距離に侵攻する

ヒッ

空手少女は、反射的に美智に拳を突き出す

少女の身体が、くるんと宙を飛んで肩から床に倒れる

美智が正拳突きの勢いを利用して、投げたんだ

受け身ぐらいは、きちんとできますよねお姉様方

美智の冷たい眼が、残りの3人の空手少女の恐怖心を一気に煽った

トァァァァッ

一斉に、美智に襲いかかる