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イーディは、うんうんと頷いて、マナと真緒ちゃんに手を振っている

レイちゃん、みんな乗ったぞ

オレが、麗華に告げると

えっあっはっうううううっ

あたふたと挙動不審な反応をする

しっかりしろっ、麗華っ

はっ、はいそれでは、出発致しまぁすっ

バンの運転席に飛び乗って来る

マナ、渚、真緒ちゃん

オレは、車の窓から3人に声を掛ける

大丈夫よ後は任せて

この狂言誘拐作戦の概略を知っている渚はオレに、そう言ってくれた

お兄ちゃん気を付けてね

心配そうなマナに、オレは笑顔で応える

パパ、おみやげおねがいねっ

真緒ちゃんは、ニコニコ笑っていた

瑠璃子は、小さくなって隠れていろ

玄関の外には香月セキュリティ・サービスの監視者たちがいる

みんな当然瑠璃子の顔は知っている

香月家の娘である瑠璃子が乗っている車なら当然、追尾してくるだろう

これでいいですか

頭を下げてシートの影に隠れた瑠璃子にオレは、毛布を掛けてやる

レイちゃん正面のゲートの開け方は、判っているよね

オレが尋ねると、麗華は

はっ、はいさっ、先ほど、まっ、マルゴさんから教わりましたから

まだドモるのが直っていない

麗華は、極度の興奮状態の中にいる

落ち着いて香月セキュリティ・サービスの人たちには、麗華の顔をはっきり見せるんだ麗華が運転していると判れば、向こうは安心するから

はっ、はい

白いバンは鉄の大門の前へ

麗華が、教わった通りに機器を操作する

鉄扉が、ススッと大きく開く

屋敷の前で監視しているはずの香月セキュリティ・サービスと、公安警察の車がいつもより少ない

それぞれ、普通のセダン車が1台しか停まっていない

みすずの乗ったマルゴさんの車と、学校へ向かった克子姉の車を追尾していったから

今、ここには、これだけしか残っていないんだ

レイちゃん、敬礼しろ

麗華が香月セキュリティ・サービスの車に向かって、敬礼する

向こうの車の中の人も敬礼して帰す

警察の人は、その様子を見ている

つまり、この車は香月セキュリティ・サービスの関係車だと思っているはずだ

どっ、どっ、どっどっちに行きましょうっ

右に行けば学校だ

麗華がお屋敷から脱走を企てたとして

ミナホ姉さんたちの居る学校に近付くルートを採るはずが無い

左へ行け

はっ、はいはいはーいっ

麗華は、バンを左折させそして、アクセルを踏む

ぶおおおおっ

アニエスちゃん大丈夫よ何も怖くないからね

瑠璃子が毛布から這い出しオレの腕の中のアニエスに言う

瑠璃子お前

瑠璃子の落ち着いた笑顔にオレは戸惑う

お前変だとは、思わないのか

麗華の突然の異常行動

監禁していた雪乃を連れ出しオレに車に乗れという

にもかかわらず

車が発進した途端に、オレが麗華に指示を出している

何か、理由があるのでございましょう

それならば瑠璃子は、何も申しませんお兄様に従うだけですわ

それにイーディさんの様子で、だいたい把握致しました

本当に、藤宮さんがわたくしたちに対して反乱を起こされたのならもっと、心が猛々しくなっているはずです気を感じる力のあるイーディさんが、あんなにニコニコしているはずがありません

あ狂言だっていうことを、あっさりと見破られた

真緒ちゃんも藤宮さんのことを怖がっていませんでしたし

めっ、面目ございませんっ

ステアリングを握る麗華が頭を下げる

黒森様も、すぐに気付かれると思いますわ

瑠璃子はこれが、ミナホ姉さんに対するパフォーマンスだということまで気付いている

いや、それはいいんだ本気で、レイちゃんが裏切ったと思ったらミナホ姉さん、何をするか判らないから

ミナホ姉さんが持っている裏社会のツテを全て使ってこの車を探し出そうとするだろう

それこそありとあらゆる手段を使ってくるに違いない

それよりもどこまでが狂言で、どこまでが本気か判らない状態にしたいんだミナホ姉さんにはしばらく、悩んでいて欲しいから

全てが狂言である可能性があるのならミナホ姉さんは、裏社会の連中にまで声を掛けるのは避けるだろう

それに、こっちに雪乃がいる限りはミナホ姉さんは、落ち着けないよ

白坂創介の眼の前で全ての娘を犯す

それが、ミナホ姉さんの計画した復讐のクライマックスだ

特に、雪乃は白坂創介に最も溺愛されている娘だ

その雪乃がいないんじゃ復讐が始められない

しかし、どうしてこのようなことを

うんと実は、オレもよく知らないんだこれは全部、マルゴさんの計画でミナホ姉さんの頭の中を、今日の夕方まで、オレたちの追跡でいっぱいいっぱいにさせるというのが作戦内容だ

夕方までですか

うん夕方には戻る

白坂創介への復讐のスケジュールは変わらない

判りませんわ予定通りでいいのなら、どうしてこんな手の掛かることをするのかしら

ミナホ姉さんは、オレに今日の夕方までに処分しないと、相手の精神がパンクしてしまうって言っていた廃人になった人間に復讐したって、心は晴れないからその前に、復讐しないと意味が無いって

オレは腕の中のアニエスの頭を撫でている

アニエスの前では、あまり白坂創介という名前を出さない方がいいだろう

アニエスは、ジッとオレの顔を見上げている

うんそのリミットが今日の夕方夕方までは待ってくれると言っていた

オレがアニエスの心を開かせるのを

一つ判った

うんアニエス大丈夫だよ寒いかい

ううんパパと一緒だから温かいですの

ミナホ姉さんは本当は、アニエスを白坂創介の前で、酷い形で犯したいんだ

アニエスが、泣き喚くような悲惨なレイプを

それは今のアニエスと同じ年齢の時に、自分自身が白坂創介にされたことだから

しかしオレがマナをレイプした時に、苦しみ

そういう陵辱をしたくないということを知っているから

ミナホ姉さんは、オレのためにアニエスが心を開いてくれるための時間を作ってくれた待ってくれている

姉さん自身の心を抑えて

だから、姉さんは昨夜から、学校に籠もっているんだ

オレが、アニエスを優しく接していく様子を見たくないから

だから、お屋敷から出た

むしろ、白坂創介の近くへ行って今日これからの復讐に向けて、憎しみの炎を燃え上がらせることにした

そんなミナホ姉さんが心配だから昨夜から、恭子さんは付き添っているし

マルゴさんも、こんな狂言計画を企てた

いや、まだこのマルゴさんの計画の全貌はオレには、判っていないけれど

そっか、ミナホ姉さんの監視がいつも通りならこんな作戦は、できっこないもんな