Выбрать главу

そのピンクのですの

判ったわこれね

選べと言ったら強制になってしまう

だから瑠璃子はどれが好きどれなら履いてみたいという形で、アニエスに尋ねた

オレはまだまだだな

それじゃあそれを買おうか

アニエスを抱えているオレの代わりに瑠璃子が、ピンクのサンダルを拾い上げる

うん作業所用だけれど、アニエスが履いたら可愛いかもしれない

お店の黄色いカゴに和風のデザインの入った手ぬぐいとか、鯉の滝登りのプリントされたロング・Tシャツとかをいっぱい入れて

イーディが、やって来た

眼をキラキラさせて

うんと欲しいのか

イーディは、うんうんと頷く

しまったアメリカ人少女の心の琴線に触れる商品が、この店にはいっぱいあったらしい

さすがに、これ全部を買ったら1万円は超えるだろう

今の所持金で払えない額ではないけれど

オレが躊躇していると

MICHIMANAKATUKOMEGUMI

手ぬぐいを一つ一つ示してイーディは、ここに居ない女たちの名前を言う

お前、お土産にしたいのか

オレの言葉を、瑠璃子が翻訳する

それなら、しょうがないなあ

じゃあ、手ぬぐいだけなTシャツはダメここのは全部男物だから

イーディはハァと溜息を吐くが、納得してくれる

それと恭子さんや、ミス・コーデリアたちの分も選んでくれ

イーディは、ゲッという顔をする

というかあの人たちの分を忘れたら、お前、シバかれるぞ

イーディは、ブルルルッと身体を振るわせる

慌てて、追加を取りに行く

ミナホ姉さんたちの分は、オレたちで選ぼう

アニエスとレイちゃんも選んでくれ

ていうかオレたちの分も買おう

お土産というより、みんなでお揃いにした方が良い

オレたちも手ぬぐいのコーナーへ行く

ああ、こんなのもいいなあ

また、イーディがパタパタと走って来る

軽く興奮して

イーディさん、ニンジャ・シューズを発見したので、買って欲しいって言ってますわ

ニンジャ・シューズ

雪駄、ですね

ああ、確かにニンジャの履き物に見えるんだろうな

地下足袋だったらどうしようかと思いました

麗華が、安堵している

まあ、雪駄ならいいか

判った、買ってやるよ

イーディは、喜んでいる

お兄様わたくしも、よろしいですか

わたくしもイーディさんと同じ履き物が履きたいです

ああイーディと友好を深めるためには、それもいいな

じゃあ、オレのも買うよレイちゃんのも買おう

そんなに高い品じゃないし

アニエスのサンダルだけでなく、ここでみんなの買い物をする

その方が、何倍も良い

あのさっ、1万8千円ちょうだい

突然雪乃がやってくる

このお店で、あたしが履けそうなのは、この靴だけだから

お前な

さっき、3000円やったろそれで買える靴にしろよ

オレは、思いっきり突っぱねる

そんなんじゃ、まともな靴は買えないじゃないっ

そういうことはまともな格好の時に言って欲しい

アフロと言えば

昔宇宙の騎士テッカマンというアニメがありまして

(テッカマン・ブレードは、そのリメイク作品です)

その中に出て来る登場人物の一人は

頭が思いっきりアフロヘアで

見た目は、眼の青い黒人さんなのですが

何故か、名前は

アンドロー梅田さんでした

何故に梅田

しかも、このアンドロー梅田さんの正体は、宇宙人です

446.海が好きっ

すっごい、ですの

アニエスが言った

うん、今、オレたちの眼の前には、広大な海が拡がっている

人気の無い砂浜の脇に、車を停めてオレたちは、波打ち際へと歩いて行った

アニエスは、さっき買ったピンクのサンダルを履いて自分の足で歩いている

もちろん、オレと瑠璃子が手を繋いでいるが

初めて見る海に感激しているらしい

WAO

イーディが、興奮してシュタタタッと砂浜を駆けていく

やっぱり、海に興奮しているらしい

その足下は雪駄だ

オレと瑠璃子も、同じ雪駄を履いている

学生服に雪駄ってのは、ちょっと変だけれど

イーディと瑠璃子は、ツナギ姿だから雪駄も似合っている

ツナギの裾を足首まで捲り上げて

麗華だけは、いつもの革靴のままだ

これは、まあ警護人として、靴の方が自在に闘いやすいからだろう

はあ、潮風ってあたし嫌いよ

そして少し遅れて、雪乃が付いてくる

結局、雪乃は一番安い390円のサンダルを買った

袖も裾も7分丈の警備員の制服に、巨大アフロのカツラ、サングラスにサンダル

どう見ても、コント世界の住人だ

しかし、このふざけた格好でも雪乃は堂々としているから何か、これはこれで、こういうものなんだという錯覚を人々に与えている

さっきの作業着屋の店のオッチャンも雪乃に対して、何も言わずにサンダルを売ってくれた

あ領収書は、いりますかって聞いていたな

ってことは、やっぱり、お笑い芸人か何かだと思われたんだな

この警備員の制服は意外と身体のラインがよく判る

雪乃の身体にぴっちりとフィットしているから丸いお尻の形を、はっきり浮き上がらせている

瑠璃子が、オレを引っ張る

瑠璃子は、ツナギの胸元を大きく開いたままだ

横から覗くと、黒のマイクロビキニまで丸見えになっている

さああちらへ

オレとアニエスを引っ張る瑠璃子

砂浜に麗華が、バンに積んであったレジャーシートを拡げてくれた

オレと、アニエスと、瑠璃子は並んでちょこんと座る

今日は、風が凪いでいて良かったですね浜風が強いと、砂が飛んで来て大変ですから

そう言いながら麗華は、オレたちの後ろに立つ

イーディだけがギャハハッと笑って、飛び跳ねている

雪駄を脱ぎ捨てて、裸足になって波打ち際の濡れたところに、ペタペタと足跡を作っていく

アニエスも、波の方まで行ってみるかい

ここで、いいですのパパと一緒にいるですの

と、オレにしがみつく

初めて見る海に圧倒されているんだな

ねえ、いつまでここにいるのよっつまんないわよ、こんなところ

後ろから、雪乃がオレに言う

コンクリートのブロックにどっかりと腰を下ろして

途中の自販機で買った、ペットボトルのサイダーをゴクゴク飲んでいる

それも、オレがやった3000円で買ったんだよな

サンダルは一番安いのにしたくせに飲み物は、平気で買う

こいつの金銭感覚はオレには、よく判らない

お兄様わたくし、海は久しぶりですわ

雪乃との会話を断ち切らせようと瑠璃子が、オレに言う

葉山の別荘へ行ったのも、一昨年の夏が最後でしたから