好きか
うんと大きく首を振る
だったら好きって言ってあげるんだ言葉にしないと、相手には届かないし言葉にすることで、相手が喜んでくれるそういうことって、あるんだよ
あのアニエスは、好きですの
瑠璃子を見て言う
愛しているって、言ってあげるんだよ
オレの言葉に
愛してますの瑠璃子お姉ちゃまのこと
瑠璃子が、ニッコリとアニエスを見る
わたくしもよアニエスさん
それから、アニエスは
パパのことも好きですの愛してるの
イーディちゃんのことも好きですの愛してますの
海辺を子犬のように走り回っているイーディにアニエスは叫ぶ
へと、こっちを見るイーディ
それからレイちゃんのことも好きっ愛してますの
アニエスの突然の発言に麗華は、驚く
アニエスは、利口な子だから今までずっと、オレたちの会話や行動を見てきて、自分なりにちゃんと考えて来ているんだよその上でレイちゃんのことも、良い人だって判ってくれているんだよ
あたしも、そう思いますわ藤宮さん
瑠璃子が、麗華に微笑む
オレも、レイちゃんのこと大好きだよ愛してる
わたくしも、藤宮さんのこと大好きです愛してます
レイちゃんは、オレたちのことどう思っている
麗華は、オレを見る瑠璃子を見るアニエスを見る
みんな好きです愛しているのに、決まっているじゃないですか
グッと感情を抑えて麗華は言う
麗華それって
ちょっと待ちなさいよっ
そこへアフロ頭の謎の警備員が割り込んで来る
あんたたちは、それで良いのかもしれないけれどさ
何だ雪乃
あんたさあたしのこと好き愛しているその辺のところさ、ハッキリしなさいよっ
なななな、何だ
いい加減、あんたがその辺をハッキリさせないとさっあたし、これから先、何をどうしたらいいのか、全然判らないじゃないっ
いや、オレは
お前が、何を言い出しているのが全然判らないぞ
見ろ、アニエスがすっかり怯えている
あの白坂雪乃さん
瑠璃子が雪乃に言った
ギッと睨み返す雪乃
そう言うあなたはどうなのですか
あなたはお兄様のことを、どう思っているんですか
雪乃はジトッとオレを見て
嫌いよっ大嫌いっ
あうん
嫌いに決まっているでしょこんな男っ
では、お兄様だってあなたのことは、好きではないと思いませんか
瑠璃子の言葉に雪乃は
はぁーん何でよっ
この男は、あたしのことが大好きよ好きで好きでどうしようもないからあたしのことを犯したんでしょっ今だって、隙があればあたしのことをレイプしようと企んでいるんだからっそうよねっそうだって言いなさいってのっ
このアフロ頭の警備員は何を言っているんでしょう
もちろん、あんたの好きにはさせないわよっそれはもう、絶対にそうなんだけれどあたしのことが好きだったら、何とかしてあたしのことを助けなさいよっホント、気が利かないって言うかバカよねこのバカっあたしに、こんなことはで言わせてさっ
何だ、何だ、何だ
あたしは、あんたが大っ嫌いだけれどあんたが、あたしのことを大好きだって言うからあたしを助ける役目を、あんたにお願いしてるってことよっここまで言えば、あんたのお馬鹿な脳みそでも判るでしょっこのバカっ
ああどうしたらいいんだろうこいつ
あのうそこに車を停めているの、あんたたちかい
砂浜の上から1人の老人が降りて来る
麗華が、サッと大人の顔に戻って対応する
困るんだよねえあそこは私有地だからさ
すみません、すぐに移動させます
いやいやそういうことじゃなくってさ
老人はごく普通に、オレたちに近付いて来る
HAAAAAAAAARYEEEE
イーディが、全力疾走をして老人に突っ込むッ
KICK
老人の喉元に跳び蹴りを食らわせたッ
おい、イーディ
驚くオレたちにイーディが、何か叫ぶ
囲まれているって、言っています
瑠璃子が、通訳する
ハッとして、麗華が撲殺ステッキを構える
と周囲から、わらわらと
10人ほどの男たちが現れる
あなたは、瑠璃子様とアニエスさんを
麗華の言葉にオレは、2人を抱き締める
迂闊だった
シザーリオ・ヴァイオラが死んだことで、気が緩んでいた
オレはブン殴り棒を持って来ていない
AIYAAAA
敵の一角にイーディが飛び込むッ
おい、気ぃ付けんかいっこの外人娘変な技を使う
へいっ、アニキっ
と、答えた瞬間その男の頭に、イーディの回し蹴りが決まるっ
振り返りざまにさらに2人を仕留める
なんじゃこいつメチャクチャ強いぞ
男たちはイーディから、距離を取る
はいそこまでや
さらにその後ろから1人の男が現れた
坊主頭にサングラスにチョビ髭の巨漢
その男は手に、マシンガンを持っていた
わしは切れたら、何するか判らんでぇあんたら全員、蜂の巣にしてしまうぞ
銃口をオレたちに向けながらゆっくりと歩いて来る
どちらの組の方ですか
麗華がステッキを構えたまま、尋ねる
そんなん答えるわけないやろなあ
クックックと男たちは、笑う
質問するのは、わしらの方やで、姉ちゃん
そして巨漢は瑠璃子を見る
香月瑠璃子さんやな
間違いないでさ、アニキ写真で見たのと同じ娘です
確かにそうみたいやな久々に、当たりを引いたで
マシンガンの巨漢は、ニタァと微笑む
お嬢ちゃんが来てくれるとオッチャンたち、とーっても助かるんよ
その身体を、オレはギュッと抱き締める
アニエスも、必死でオレにしがみついていた
ほらぁぁ、とっととこっちへ来んかぁいっ
巨漢が恫喝の言葉を叫んだ瞬間イーディが、行動を開始する
RYAAAA
近くの3人の男を次々と倒す
な、何や、ワレェェ
巨漢がイーディに銃口を向けようとした瞬間
とぅりゃゃぁぁッッッ
撲殺剣士が吶喊するッ
き、きさんっ
巨漢が、慌てて麗華にマシンガンを向ける前に
撲殺ステッキが、マシンガンを跳ね上げるッッ
ていやっ
落ちたマシンガンを、撲殺ステッキが狙い打つッ
バギィッ
マシンガンは、真ん中から真っ二つに砕けた
この野郎っっ
男は、腰から拳銃を引き抜こうとするが
一閃
麗華は、巨漢の身体を薙ぎ払った
ゴッ
骨の砕ける鈍い音がする
や、やべぇぇ逃げろっっ
その間に、イーディがもう2人ほど倒していた
残った男たちは、バラバラと逃亡する
残念でした観念なさい
メガホンで拡声された女の声
見ると砂浜の向こうから
黒いスーツの一団が、現れる
ああ、オレはこいつらを知っている