ジッちゃんの前でセックスしたことでジッちゃんに嫌われたと思っている
瑠璃子はジッちゃんの自分に対する邪恋を、よく理解していない
そもそも、恋愛ごとについては、全く知識が無かった瑠璃子だ
もし、ジッちゃんが瑠璃子に処女を捧げろと命じたら瑠璃子は、当たり前に応じていただろう
瑠璃子にとってはジッちゃんに命じられたことが、全てなのだから
もちろん、瑠璃子にはジッちゃんに対する恋愛感情は無い
あくまでも、尊敬すべき祖父として親族として、ジッちゃんを愛している
だから、瑠璃子がジッちゃんに身体を許すとしたら祖父に対する、親愛の情からでしかなかっただろう
だがジッちゃんの方は
瑠璃子を、女として愛したいという欲望を抱きながら同時に、自分の愛しい孫娘であるという思いも持っていた
ギリギリのところで孫娘に欲情するというインモラルなことに、ブレーキを掛けた
それは自分の身体が、もうセックスができないということからの諦めもあったろう
とにかく、ジッちゃんの方には瑠璃子に恋することへの後ろめたさがあった
その後ろめたさの存在を瑠璃子は、気付いていない
単純に香月家の呪縛から、瑠璃子を解き放つためにジッちゃんは、自分をオレに渡したのだとしか思っていないし
ジッちゃんの前でのセックスも瑠璃子自身が、ジッちゃんへの思いを断ち切り、オレに心を捧げるための儀式だと思っている
だからジッちゃんに嫌われたという言葉が出て来る
ジッちゃんは瑠璃子のことを嫌ってなんていないよ
瑠璃子はジッちゃんの可愛い孫娘なんだから
オレは、関さんの方を向く
つまりジッちゃんと瑠璃子を、対外的にだけでも、仲の良い祖父と孫娘の関係に戻せって言う話なんですね
そういうことよ重秋様のご葬儀の席で閣下が瑠璃子様を遠ざけられ、美子様をお孫様とお認めになられたことで、香月グループの中で動揺が起きています
どういうことでございますか
美子さんの名前が出たことで、瑠璃子の眼の色が変わる
一つはグループ内で、瑠璃子様が閣下の後継者になられると思っておられた方が多かったということですその方たちは、みんな腰砕けになってしまわれていますわグループ内での地位や面目を失われて困った状態になられています
ああ、瑠璃子推しだった連中は旗頭がいなくなってしまって途方に暮れているのか
それはわたくしのせいではございません
うんあくまでもそいつらが、勝手に瑠璃子を推していたんだし
みすずを推すグループと、対立したりして
それで瑠璃子とみすずが、あんまり仲良くできなかった要因となっていた
しかし、急激すぎる変化はよくありませんそれに瑠璃子様を擁立していた方たちは、閣下によって粛正されるのではないかという憶測まで、一人歩きし始めていますわ
ジッちゃんが、そんなことをするわけがないのに
自意識過剰な人間はそんなバカなことを考えるのか
そして美子様の認知の方も
何が起きているのですか
非公式にですが美子様への縁談のお話が、この数日だげで30件以上もあったそうですわ
瑠璃子が、ジッちゃんに遠ざけられたとなれば美子さんと結婚して、香月家を乗っ取ろう考える輩が出て来る
皆様瑠璃子様のお付きとして、常に控え目な態度でいらした美子様をよくご存じですから夫となれば、美子様はどんなことでも従うだろうと思っていらっしゃるんです
そうですかしかし美子様と結婚なさったからといって、必ず香月家の当主になれるとは限りません分家の皆様の眼もございますし
瑠璃子の言葉に、関さんは
美子様に求婚なさっている人たちはそんなことまでは、考えておりませんわ
閣下は美子様も、ご自分のお孫様とお認めになれたんですつまり美子様と結婚すれば、少なくとも香月家の財産の何割かは手に入ります
ジッちゃんの長男は次男に謀殺され
次男はミス・コーデリアの抹殺された
みすずの父親である三男は、国家官僚でジッちゃんの遺産は相続しないと言っている
今のままだと香月家の財産は、みすず、瑠璃子、美子さんの3人で相続する可能性が高い
法定相続分だけでもゲットしたら丸儲けだと思っている輩が、30人もいる
何という、破廉恥な考えなのでしょう
吐き捨てる様に瑠璃子は言った
しかし、今の香月家ならつけ込む隙があると考えている人々は多いのです重秋様の急死と、慌ただしい葬儀司馬様へのグループ経営の移譲香月家に何か大きな問題が起きたことは皆様、気付いておられるわけですから
色んな事がバタバタと起こり過ぎているから
マスコミ関係は抑えられても財界の人たちには、バレている
先ほど皆様を襲ったグループも、そういう流れから発生しています
簡単に申し上げると香月セキュリティ・サービスが舐められているんです香月セキュリティ・サービスは香月グループのホテルをテロ実行犯の襲撃から守ることがでぎずに、重秋様のお命を奪われたのですから
そうか外から見れば
お台場のホテルは全館がメチャクチャな状態にされてしまっているし
香月家の人間である重秋氏の急死はホテルを襲った、テロ犯に殺害されたのだろうということになる
つまり、香月セキュリティ・サービスは全然、ダメだったと
それに山岡部長が統括していた、香月セキュリティ・サービスの表部門警備部が、ホテルの闘いで全く機能していなかったことも知れ渡っています
うん本当に、何もしてなかったもんなあ
実際すでに、幾つかの顧客から、香月セキュリティ・サービスの警護契約を打ち切るという話も出ていますまあ、先ほどお話しした通り要人警護は、あくまでもサイドビジネスですから、部門を縮小してもわたくしたちはそんなに困りませんが
重秋氏という、獅子身中の虫も居なくなったから香月セキュリティ・サービスは元通りの香月家のためだけの警備部隊に戻ったっていい
しかし、わたくしたちの警護能力が舐められるのは問題です
関さんは、嘆息する
例えばさっきの襲撃犯は、北九州の組織が様子見で送り込んだものですわたくしたちの能力がどれくらい低下しているのかを調べるためにあんなやつらを送り込んで来たんです
つまり今日のは、先鋒隊でまだ、これから本隊が来る
皆様と接触する前に、彼ら全員を処分することもできたのですがマルゴさんや恭子さんとも相談して、わざと引きつけましたもちろん、谷沢チーフの許可もいただいております
何故ですわたくしはともかくお兄様や、アニエスさんを危険に遭わせるなんて
瑠璃子は、怒りを露わにする
その理由は一つは、閣下に危機感を感じていただくためですもうすでに、瑠璃子様たちが襲われたことは、ご報告致しました