さっさとトイレに行きなさい判るわよね
雪乃の鼻先にステッキを突き出す
ちょっとあんた、危ないでしょっ
そう言う雪乃を見て翔お姉さんは
麗華あんまりグタグタ言うようだったら、殺しちゃっていいから
雪乃の顔色が変わる
はっきり言って、わたくしたちにはもう白坂雪乃さんの利用価値は無いのよ
白坂創介の身柄は、確保しているし
白坂本家は、ジッちゃんに屈服している
このまま、あなたが遺体で発見された方が市川さんもお喜びになるんじゃないかしら雪乃を精神病院へ送ることを画策していたのだから不審死してくれた方が、後腐れが無くて助かるんじゃない
雪乃は、がっくりと力を落とす
あんた何か言いなさいよあたしのこと、助けなさいよ
オレは応えない
何よあんたには、いっぱいセックスしてあげたじゃないっ散々、あたしに気持ち良くしてもらっておいて、今さら、そういう態度を取るつもりなのっ
雪乃はオレに一方的に犯されたことすら、勝手に変更しようとしている
あんたは、あたしに感謝するべきなのよっ
今までのセックスは、全て、雪乃がオレにサービスしてくれたことで
だからこそ、オレは雪乃に感謝し彼女に尽くさないといけない
そういうことだったと思い込もうとしている
だが、そんなのは全て、ねつ造だ
現実とは、違う
ほら、行くわよ
ビュッと麗華がステッキを振る
その風を切る切っ先に雪乃は恐怖する
麗華に連れられて、トイレに向かう途中で雪乃はオレに振り返る
裏切り者
いや、オレは一度も雪乃を裏切ってはいない
オレは最初からずっと雪乃の敵だ
オレたちの間には、劣情はあったけれど愛情や友情は無かったのだから
信じていたのに
雪乃はオレとのセックスでの快感を
二人で同時にイッた体験を信頼感にすり替えただけだ
雪乃は、オレとしかセックスしたことが無いしオレとしかイッたことがないから
他の子ともセックスしているし絶頂を共有している
雪乃のオレへの感情が、幻想だということはよく判っている
だから黙っている
雪乃には応えない
応えてやらない
よしよし、よくガマンしたわねっ偉いぞっ
雪乃と麗華がトイレに消えると翔お姉さんが、そう言ってオレの頭を抱いてくれた
翔お姉さんのふくよかな胸に、顔を埋める
さて白坂雪乃さんが居ないうちに、黒森さんに報告しておきましょうか
あなたたちのこと心配しているでしょうから
ミナホ姉さんは、麗華による誘拐の真相を知らない
まだ、この事件が本気なのか、狂言なのか見極めていないはずだ
マルゴさんが、徹底的にミナホ姉さんへの情報を遮断しているのだから
ちょっと、待ってマルゴさん経由で、連絡を取るわあなたの声を聞いたら、きっと安心してくれるでしょうから
関さんは、携帯電話を取り出す
ああのね、パパ
アニエスが、不意に喋り出した
アニエスもパパとセックスするするですの
オレは、アニエスの座っているソファに戻る
どうしたんだよ、急にアニエス
オレの問いにアニエスは
セックスってあのあれのことですのそうですの
少し興奮気味にアニエスは言った
男の人と女の人があのお股を擦り合ってオチンチンをオマンマンに入れる
うんまあ、そうだ
アニエスは、白坂創介のセックス映像だけは、繰り返し観せられている
外面的なセックスという行為については理解している
マナお姉ちゃんは、パパとしていましたのルリお姉ちゃんもミチお姉ちゃんも他のお姉さんたちも、パパとしていましたの
この2日間オレは、アニエスの眼の前でヤリまくっている
そしてレイちゃんも、パパとする約束をしてましたの
アニエスは今起きている状況を、自分なりに捉えようとしている
だったらアニエスも、パパとしますの
アニエスだけ、仲間外れなのは嫌ですのアニエスも、みんなと一緒がいいですの
オレは、アニエスを前から抱き締める
背中側からは、瑠璃子が抱き締めてくれた
うん、そうねアニエスちゃんも、一緒になりましょうね
なあ、アニエス一つだけ、教えてくれお前あの地下のお前の部屋にあった、銅像の人のことどう思っている
銅像の人白坂創介
アニエスの実父でありアニエスを監禁した張本人
自分の娘、アニエスを犯すことを夢見ていた
銅像のパパンは、ずっとあそこに立っていますけれど本当のパパンは、たまにしか来てくれないですの
ああ、アニエスは
銅像と実物の違いがよく判っている
パパンはアニエスが13歳になったら、セックスするって言っていましたのそれまで、パパンのセックスをよく観て勉強しておきなさいってそれが、アニエスの運命なんだって言ってましたの
アニエスはオレに言う
アニエスは、一生、あのお部屋からは外に出られない友達もできないパパンが来てくれるのを待って、パパンにだけご奉仕するアニエスは、パパンのお人形だからずっと、ずっとそういう風に教わってきましたの
でも違いましたのたくさんの人が、アニエスに会いにアニエスのお部屋に来てくれましたのみんな、アニエスに優しくしてくれますのアニエスは、最初は怖かったですのみんなと仲良くすると、あとでパパンに怒られるお尻を叩かれると思っていましたの
アニエスの眼に涙が溜まる
でもパパンは来なかったずっと、ずっとパパンは、アニエスには会いに来ないでそれで、パパパパが
小さな手が、オレにしがみつく
パパが、アニエスをあのお部屋から出してくれましたのアニエス出られたのパパンの言っていることは、全部、嘘でしたの嘘でしたの
白坂創介に閉じ込められていた日々が凍った時間が、溶けていく
アニエスは、もうあのお部屋には戻りたくないみんなと一緒にいたいパパといたいいたいですのだから、アニエスはパパとセックスするですのパパンじゃなくってアニエスは、パパがいいですのっ
熱い涙を零しながらオレに抱きつく
うんそうだなずっと一緒だぞみんな一緒だみんなみんな、アニエスの家族だからな
パパァァ
泣いているアニエスをオレは、あやす
この子はオレの家族だ
オレの家族にするために
オレは、アニエスを抱く
そう、全て上手くいったのん良かったんじゃないあ、待って今、ミナホに変わるから
翔お姉さんの携帯の外部スピーカーからマルゴさんの声がする
どうやら、みすずたちの送迎の後に学校へ向かったらしい
今はミナホ姉さんと、校長室の下の監視室に居るようだ
ミナホ姉さんの声は、疲れていた
香月セキュリティ・サービス、関です
翔お姉さんが、挨拶する