ここで笑って、そう答えてくれる可奈センパイは良い人だと思う
はい約束しましたの
これでまた可奈センパイは、オレたちに搦め捕られていくことになる
良くも悪くも
いや最終的に幸せにすればいいんだ
最終的に
レイちゃん学校まで行くから、車の運転を頼むよみすずたちも行くから
オレは部屋に入るなり、そう言った
あああ、パパァアニエスちゃんばっかり、ズルイ
真緒ちゃんが、オレの背中にアニエスがしがみついてるのを見て走って来る
こっちの部屋にはレイちゃんの他に、雪乃と美子さん、マナと真緒ちゃんがいる
レイちゃんは、監視モニターに掛かりきりになっていた
マナが真緒ちゃんと遊んでいたのは、判るが
雪乃と美子さん何を話しているんだ
え、何学校へ戻るの
早速、雪乃がオレに尋ねる
ああ、学校にジッちゃんが来ているんだ
まあ、お祖父様が
何でうちの学校に香月のお祖父ちゃんが来ているのよ
そんなのオレは知らないよミナホ姉さんに会いに来たんだろとにかく、来いって言うから行ってくるよ
みすずちゃんたちも行かれるのですか
美子さんが、怪訝な顔でオレに尋ねる
ジッちゃんが居るのに美子さんだけ連れて行かないというのは
また、美子さんのコンプレックスを刺激してしまうことになる
おそらく皆さんで、鷹倉様のお出迎えに行くのだと思います
レイちゃんが、そうフォローしてくれた
ですから、美子様はこちらで、克子さんと鷹倉様をお迎えする準備の方をお願い致します
ああ、なるほどそういうことでございますのね
明るい顔で、美子さんは納得する
鷹倉様って、もしかして
そう今、外でヤクザ屋さんたちが暴れている原因だよ
雪乃もさっき屋敷の正門前のヤクザの襲撃に同席している
いよいよ、うちへご到着らしいでも、ほらヤクザの眼を避けるために、一旦、学校を経由するんじゃないかな
何よ色々知ってるんじゃない、あんた
まあ、多分だよ多分
あたしはいつ、帰れるのよ
ムッとする雪乃
そんなの香月セキュリティ・サービスの手が空くまで、無理だろ最悪、泊まっていけよ
嫌よここは
雪乃は、この屋敷には良い思い出は無い
夜中に、ご飯を盗み食いすんなよ
しないわよ、もう
ちゃんと食事を出してもらうように頼んでおくからさ
うまい棒は、もう嫌っ
本当にロクな思い出が無い
ところで、お前美子さんとどんな話をしていたんだ
この二人で話題が合うのか
はいわたくし、先程から雪乃さんに色んなことを教えていただいておりますわ
そうよこの人何も知らないんだから
雪乃に教わっていた
今はちょうどステマという事柄について、ご講義していただいていました
すてま
何よまさか、あんたも知らないのステルス・マーケティングのことよ
今話していたのはねどうして、人気ドラマの中で、普通じゃあり得ない某国のお菓子とか絵が出て来るのかっていう
お前何を言っているんだ
あ、全部、フランシーに聞いたのよだから、マジネタよこれ
とても勉強になりますわ
ま放っておこう
害は無いだろうから
じゃ、もうちょっと話しててくれアニエスは、真緒ちゃんと
オレの背中から飛び降り真緒ちゃんの方へ
真緒ちゃんパパはお仕事だから、アニエスと遊ぼっ
何して遊ぶ
しりとりはダメだよアニエスちゃん、弱いんだもの
アニエスはまだ世の中のことを知らない
じゃあ折り紙しますの
二人は、遊びに行く
お前も行くぞ準備しろ
オレを見上げるマナ
ちょっとだけ外の空気を吸いに行こう
マナの中で煮詰まってしまっているものを少しは吐き出させないと
無事に、手術も終わり父を病院から引き取ってきました
父より手術中に母と待っている方が辛い
何か、変なペンダントをしているのですよ
仏像が掘ってある
それ何
あたしは、何か勝負の時は、いつもこれを付けて行くのよ
それ弥勒菩薩
よく知らないわ
いや、弥勒菩薩だって教科書で見たことあるから
アンティークショップで見つけたんだけどね絶対これは、パワーがある感じがするのよ
いや母オレも見掛けたことがあるぞ、それ
修学旅行で奈良に行った時に土産物屋で
その後、延々と母の自慢話と苦労話を聞かされた
何か、まるで飲み屋で中小企業の老社長にとっ捕まった様な気分でした
で、何であたしがその時、そういう選択をしたのかあんた判るえ、判る
いやどうでもいいです
だって知ってるし家族だから
ていうか、母が語るような大事じゃなかったし
基本、3割ぐらいずつ盛ってます
物凄く、生命力が奪われたような気がする母のせいで
647.竜巻
レイちゃんが、ガレージから7人乗りのミニバンを玄関に廻して来てくれた
運転手がレイちゃん、オレ、可奈センパイ、寧、みすず、瑠璃子、美智、マナだからこれでないと乗れない
寧が助手席美智は2列目の歩道側の席、これは何かあった時にすぐに外へ出られるように
オレが2列目の真ん中で、隣がマナ
一番後ろが、可奈センパイ、みすず、瑠璃子
では、出発します
レイちゃんが、エンジンを掛ける
そのままミニバンは、お屋敷の正門へ
第4警護班、藤宮ですルートBで、7番の移動近距離ですし、総合警護エリア内ですので、追尾車輌は必要ありません
レイちゃんが、無線で外の香月セキュリティ・サービスの監視班に連絡する
第4警備班、サカモト了解
レイちゃんが、門を開ける遠隔操作のスイッチを押す
巨大な鉄の門がスルスルと開く
門の外はいつもの公安警察と香月セキュリティ・サービスの監視車しかいない
工藤父が、暴れたからヤクザは、もう待ち伏せしていない
そのまま、オレたちの車はお屋敷の外へ
車道を学校に向かって走る
いつもなら追い掛けて来る公安の車も、今は付いて来ない
レイちゃんの香月セキュリティ・サービスの通信を聞いていたのか
外部の警戒は、わたくしが
ああ例のヤクザたちが、また現れるかもしれないもんな
警戒は、必要だ
お願いしますでも、それほど心配する必要は無いと思います
レイちゃんは、笑顔で答える
今はこのエリアの警護体勢のレベルは、最大レベルになっていますから
ああ、学校にジッちゃんが来ているから
だから、お屋敷の前の香月セキュリティ・サービスや公安警察のいつもの監視の連中はオレたちを追っ掛けて来ないんだ
この辺りに香月セキュリティ・サービスの警護員が、大増員されているから