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やっぱり、娼婦は無理だ

といってもおそらく、巫女が鷹倉神社に居着く前の漂泊の渡り巫女だった時代には本当に、望まれれば誰ともセックスして、相手と心を通じさせたんだろうと思うよ

だからこそ、娼婦になることが巫女になるための修行だって香月のオジィちゃんは、言い出したんだと思うしさ

鷹倉姉妹の知らないところで

月子たちの母親も、巫女を継ぐ前に

修行として、秘密裏に何人もの男たちに身体を売らされたのかもしれない

さすがに、処女のまま仲裁の儀はさせないだろう

初めてが、ヤクザの大親分だなんて精神崩壊するしかなくなる

そうおっしゃったのは、確かにお祖父様ですが果たして、そのお祖父様のお考えは、正しいのでしょうか

あの大局観で、全ての状況を考えてみる必要があると思うんです

大局観

モノゴトを全体的に、大きな視点から眺めて見ることネ

ありがとう、イーディ

来日4ヶ月のアメリカ人に日本語を教わってしまった

わたくしたちはきっとお祖父様が、鷹倉家の巫女についての全てをご存じの筈だと思い込んでいましたが

そうじゃない可能性もある

寧ちゃん、みすずちゃんお祖父様は、今回の件を、どんな風に終結させようとしていると思われますか

今は鷹倉姉妹を守りながら、追っ掛けて来るヤクザ・グループは撃退しているよね

というか、関西にも攻撃部隊を送り込んでいますわ

寧とみすずが、顔を見合わせる

鷹倉姉妹を追って、東京に来た連中は翔姉ちゃんの指揮する部隊が、撃滅している

一方、関西には谷沢チーフが、少数精鋭と事件の発端となった鷹倉神社を乗っ取ったヤクザの本部を攻撃しに行っている

お祖父様や香月セキュリティ・サービスの力があれば、今回の事件を引き起こした過激な人たちは全て排除することができると思いますしかし

この日本に居る全てのヤクザさんたちを排除することはできませんわ

月子の両親を殺したという佐竹組長や、この機に乗じて鷹倉神社の巫女を根絶やしにしようとしている大鳥総裁は、ブッ潰すことができるだろうけれど

ヤクザ世界というのはその2人のグループだけな筈がない

きっと、他にも穏健派のヤクザさんたちも居るんですわその方たちは、鷹倉神社とその巫女を今後、どうしたいと思っていらっしゃるのでしょうか

鷹倉神社の巫女は、ヤクザ世界の仲裁役ですわできることなら、皆様、今まで通り神社に正統なる力を持つ巫女が居ることをお望みだと思います

つまり、わたくしは何としてでも、巫女となり、神社へ戻らなくてはならないのです皆様のご期待に沿うために

仲裁役が果たせる巫女となる可能性があるのはツキの巫女の力を持つ月子かルナだけ

待って、待って、月子さんの意気込みはいいからさ

寧が割り込む

ここで判ったことは次の巫女が求められているっていうことだけだよねしかも、鷹倉神社の巫女がヤクザ世界の仲裁役だっていうことは、みんなに知られているけれど

実際に行われる仲裁の儀の内容はトップの人たちの一部しか知らないんだよね

確かにあの、ヤクザの安藤は

巫女は、清らかな存在だと信じていた

大親分たちとセックスすることとか、仲裁の子を産むこととかは知らない

ていうか仲裁の儀の結果、セックスで心が読み通されることだって一部の長老みたいな人たちと、仲裁の儀の体験者しか知らないんだよね

巫女の力の本質は一般のヤクザたちには、公開されていない

いや、仲裁の儀に参加する大親分たちも実際に、心を読まれてショックを受ける

その時の恐怖心があるから大鳥総裁は、巫女そのものを抹殺しようとしているんだろうし

だからさ鷹倉の姉妹たちは、まだ巫女になるための修行が足りていないから、黒い森の娼婦となって、東京でセックス修行をさせた方が良いっていうのは香月のオジィちゃんの勝手な意見なんだよ多分

勝手な意見

オジィちゃんはヤクザさんたちの長老たちから、鷹倉神社の巫女についての話を聞いただけなんだよ実際に巫女による仲裁の儀を見ている筈が無いしましてや、体験している筈がない

ジッちゃんはヤクザじゃないんだから

ヤクザ界の抗争の仲裁のシステムを近くで見知することは、できない

ましてや巫女が、どれぐらいの深さまで相手の心を読むのかそれが、セックスした相手や、巫女自身にどれほどの精神的なダメージを与えるかなんて、香月のオジィちゃんに判るはずがないよね

オジィちゃんはあくまでも、昔の渡り巫女の話や今までの巫女の修行の話を聞いてそれなら、娼婦になって色んな男とセックスするのが修行になるって、考えたんじゃないかなていうか、月子さんみたいな巫女の候補者でも、相手の心の深くまで見通せるとか、判っていないだろうし

やはり、鷹倉神社でも渡り巫女の伝統に従って、巫女の候補者に売春させていた頃があるんだ

そういう修行法があったことを、ヤクザの長老から聞いた

そういう実例があるからジッちゃんは、そういう考えを持ったんだ

いや、その長老だって巫女の修行法については、また聞きぐらいだろうと思う

以前の神主や巫女が話していたのを、覚えていただけだろう

そしたら香月のオジィちゃんが、一番信頼している娼館はここでしょ

確かに、娼婦にするなら、ここのお屋敷でミナホ姉さんに任せた方が安心できるだろう

京都の鷹倉神社に姉妹だけで修行させるわけにはいかないしオジィちゃん的には、東京の自分の手が届くところで保護しておきたいでしょ

それにここに鷹倉神社の巫女候補者が居るっていうことになれば、一般のヤクザさんたちが守ってくれるでしょ

ああそれが

ミナホ姉さんの言っていた保険というやつか

だいたいさここには香月のオジィちゃんの最愛の孫娘であるルリちゃんも居るんだよ関西が地盤のヤクザさんたちは、知らなかったみたいだけれど

瑠璃子の存在

そのことをちゃんと公表すればさ一般のヤクザさんたちは、鷹倉姉妹は修行のために、ここに保護されているだけで娼婦にはならないんだって、思い込んでくれるよルリちゃんは、ここに居るけれど娼婦ではないんだからていうか、香月のオジィちゃんが、ルリちゃんを娼婦にするはずがないし

鷹倉姉妹もさルリちゃん同様ここに保護されているだけで、娼婦はやらないんだと、思ってくれるはずだよね

そして、お祖父様はそれでも、ちょっと不安だったんだと思いますわ

本当に、自分の考えは正しいのか巫女の修行のために、娼婦にすることは間違っていないのか

それが不安だったからお兄様に、適性検査をお願いなされたんだと思いますわ

ルリたんの言う通りですわ単純に娼婦としての資質を見るのでしたら、あくまでも黒い森の代表者である御名穂お姉様に、ご依頼なさるはずですものね