みすずが、頷く
確かに娼館の代表者は、ミナホ姉さんだ
これまで、たくさんの娼婦を育ててきた経験もあるし
でもオレは、今回の件をジッちゃんとミナホ姉さんの2人から頼まれたつもりだよ今だってミナホ姉さんは、オレたちをモニターで観ているんだろうし
あの時ジッちゃんとミナホ姉さん、2人とも揃って、オレに話をしたんだから
はいお祖父様は、あの時御名穂お姉様がいらっしゃるのに、直々に旦那様にご依頼なさったんです月子さん、夜見子さん、ルナさんの前で
本来ならお祖父様は、娼館のトップである御名穂お姉様に依頼をして御名穂お姉様から、旦那様に指示するという形を取るべきなんです
だけど香月のオジィちゃんは、直接、ヨッちゃんに依頼をした月子さんたちにも、ヨッちゃんの言うことを聞くように、話していたよね
そういやそうだったな
お祖父様は、旦那様のお力を信じていらっしゃるんですわ旦那様ならただ、お祖父様の命令を忠実にこなすのではなくまずは、一生懸命、月子さんたちを理解しようとするだろうって
理解する
そして丁寧に、親切に、優しく、月子さんたちとセックスなさるだろうと
お兄様にお任せすればご自分のお考えが正しいのかどうか、突き詰めて下さるだろうと思われたんでしょうね
みすずと瑠璃子が言った
で、ヨッちゃんヨッちゃんの結論として、どう月子さんたちを娼婦にして、巫女の修行をさせるという考えは正しかった
寧の問いに、オレは
間違っているよ
即答する
でも、そういうような修行を巫女候補はやってきたみたいだよっ
そんなことばかりしてきたから、鷹倉神社の巫女は短命だったんたろ
いえ、例え命を削るようなことになろうと巫女になれるのでしたら、わたくしは
月子が、そんなことをして辛い思いをするのは絶対にダメだ
月子だって幸せになるために生まれてきたんだよそんな思いをして、巫女になるために生まれてきたんじゃない
でも、わたくしは鷹倉神社の巫女の歴史を閉ざすわけには
はいSTOPネ
イーディが、パンと手を打ち鳴らす
こういう込み入ったハナシのバアイよくあることなのネ
イーディは、ニヤッと笑う
目的と手段が、マゼコゼになって、何が大切なのか判らなくなってしまうことがネ
目的と手段
ツーマーリー、ツキコは巫女になりたいのヨネ
そ、そうですが
目的は、巫女になることネ娼婦になることは、巫女になるための手段だと思われていたダケなのネダーカーラ
娼婦にならないで、巫女になる手段を探せばイイノネ
それだけじゃないのネェ
ツキコは鷹倉神社というのは、何だと思っているノネ
それはヤクザの皆様から信奉していただいて、ヤクザの世界の仲裁役を勤める
そんなの最近のことなんじゃナイノ
Meiji eraというのは、150年くらい前のことナノネ
Meiji era
ああ、明治時代か
ちょっと、前のことネアタシのGRANDMAのGRANDMAの生きてたくらいの時代ネ
お祖母ちゃんのお祖母ちゃんか
なぜ鷹倉神社は、ヤクザにこだわっているノネその前の時代は、全然、関係が無かったのデショウ
月子は口籠もる
ソウイウモノだと思っていると本質を、見失ってしまうノネ鷹倉神社は、ナガーイナガーイ歴史のある神社なんじゃナイノカ
どうしてもヤクザにこだわらないといけないなんてことは無いんだ
古代から、ツキヨミ神の神社として鷹倉神社は、ずっとあったのに
明治以降の関わりだけでいつの間にか、ヤクザのための神社になってしまっている
それと、その明治の時代に、鷹倉神社が渡り巫女を受け入れた理由も、いつの間にか忘れ去られています
鷹倉神社には元々、人の心に働きかけるヨミの巫女の伝統があったのでしょうしかし、それが時代の移り変わりの中で巫女の力が弱まってしまったから漂泊の渡り巫女の血を受け入れて、巫女の力を再興させようとしたのですよね
そうだ元々の神社の巫女の力は、夜見子の持っている、ヨミの力だ
月子のツキの力は、渡り巫女に由来する力で神社、本来のものではない
ヤクザとの付き合いもセックスをして、心を読み取る儀式も渡り巫女が持ち込んで来たものであり鷹倉神社とは、何の関係も無いものです
美智の言葉を鷹倉姉妹たちは、ジッと聞いている
今のあなたたちは由緒ある鷹倉神社と、漂泊の渡り巫女、その双方の末裔ですそれならば、あなたたちは現在のヤクザ世界にくっついているだけの鷹倉神社を現状維持させるのではなく古の巫女たちが、何を望んでいたのか先祖たちの思いを引き継ぐべきなのではありませんか
鷹倉姉妹たちは
わたくしたちの先祖
鷹倉神社の
巫女たちの思い
美智の言葉が月子、夜見子、ルナの心に浸みていく
明治政府によって、行き場を失った渡り巫女たちは鷹倉神社に身を寄せました彼女たちは、力を持っていたでも鷹倉神社という安住の地を得て、なお望まれればセックスをし、相手と心を通じ、祝福を与えるというような渡り巫女の生活を続けたかったのでしょうか
コレも、手段と目的の入れ違いネ各地を廻って生活するしかなかった渡り巫女だったからコソ、辛い思いをしなくてはならなかったノネどうして、新しい時代になってナオヤクザ相手に、昔と同じことをしないといけないノカネ
それは、かつての渡り巫女が、日本各地のヤクザさんたちと深い交流があったからでその伝統が
ツキコその伝統は、絶対に守らないといけない伝統ナノカ
そんなはずが無い
明治の時代は新政府が、神社やお寺に様々な制限をしましたから古い歴史のある神社でも、急に生活が厳しくなったところがあったと聞きます鷹倉神社も、そういう神社の一つだったんでしょうね
だから渡り巫女を引き受けるだけでなく、渡り巫女と結びついていたヤクザさんたちとも交流してしまった
ヤクザたちに信奉されることで経済的には、潤うようになったが
かつての渡り巫女の仕事であった仲裁の儀みたいなことも、引き受けなきゃなくなった
ちょっと、想像してみるがイイノネヤクザのことは、全部、忘れて明治の時代を頭でイメージしてネ
イーディが、オレたちにそう言う
今は力が弱くなった鷹倉神社の本来の巫女がイルネこの人の夢はナニカそれは、完全なヨミの巫女の力を取り戻すことネ
続いて1人の渡り巫女がいるネ彼女には力があるデモ、渡り巫女だから、定住地が無イだから、行く先、行く先でそこのオトコたちに、いいようにサレルのをガマンするしかないノネ