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心の奥底の傷を、見せつけられる

じゃあ月子も、娼婦にはならないのか

ならないというよりなれないですわ娼婦というものが、皆様のおっしゃる通り望まれたら、どなたとでもセックスしなくてはいけないものなのでしたらわたくしの心は、耐え切れないと思います

月子の答えに、オレは驚く

3人ともダメだったとかジッちゃんは、果たして納得するだろうか

娼婦になれないということは巫女になるための修行ができないっていうことだろ

でも、どうしましょうわたくしはどうしても巫女にならないといけないのですわ何としても

ヨッちゃんは、余計な心配はしなくていいからね

はい、こうなることはお祖父様の計画のうちですわ

ねえ、月子さんは月子さんたちのお母さんの前の巫女には、会ったことがあるの

いえございませんわ

名前も知らない

先々代の巫女には会ったことが無い

つーか月子さんたちのお祖母さんは、今、どうしているの必ずしも、お祖母さんが巫女だったとは限らないけれど

父方の祖母は、3年前に亡くなりましたが巫女では、無かったそうです

神主だった父親の方の祖母は巫女じゃない

母方の祖母は、巫女だったそうですがわたくしの生まれる前に亡くなっておりますその

鷹倉神社の巫女は、短命なのです

夜見子が姉の代わりに、答えた

巫女の力と引き替えに命を削るのだと、聞いております

まあ無理もないかセックスする度に、相手の心が全て見えるんじゃ

ましてや、ヤクザの大親分の相手なんかをさせられるんじゃさ

どうしてヤッちゃん

オレの問いに、寧は

ヤクザの大親分に成り上がったような人なんて、欲望剥き出しのギラギラ親父だよその上その地位に昇り詰めるまでに、何人もの人間を不幸に突き落としてきているわけだしさ男も女も

自分で手を汚さなくても何人もの人間の命を奪うようなことは、やってきているんだろうな

強い欲望の持ち主なら女だって、何人も抱いてきているだろうし

誰が最初に、鷹倉神社の巫女をヤクザの抗争の仲裁に使い始めたのかは知らないけれどそれって、凄い罠だったわけだよね

抗争の手打ちとして双方の組織の大親分が、同じ巫女さんを犯すっていうシチュエーションなんだからさ欲望剥き出しのエロ親父なら、ホイホイ乗っかっちゃうよあっちの親分よりも、自分の方が巫女を感じさせてやるとか、変な抵抗意識を持ってさ

鷹倉神社に対する崇敬の念とかあんまり無いと思うよきっと、ヤクザ界の長老みたいな人がこれが昔からの手打ちの時の儀式だとか言って、巫女の仲裁を勧めるんだろうねそしたらまあ、同じ女を抱くだけならって、親分さんたちも乗ってくるんだと思う同じ女を抱いた男は穴兄弟という考え方もあるしねヤクザ世界的には、納得できることなんだろうし

その上その仲裁の儀に使う巫女っていうのは基本的には、若くて、綺麗な子なんだよその方が、親分さんたちは喜ぶから

確かにわたくしが生まれた時の母は、まだとても若かったはずです

でも、寧ちゃん月子さんたちのお母様は、2度仲裁を行っていますわ

月子が生まれた時の仲裁と

ルナが生まれた時の仲裁

そこは、ほら間が5年しか開いていないし、たまたま適当な巫女候補者が一族にいなかったのかもしれないよあるいは月子さんが生まれた時の仲裁の儀に参加した大親分が、特別に有名な人であの親分さんが抱いたのと、同じ巫女がいいっていうリクエストがあったのかもしれないし

寧は、そう推理する

だから、月子たちの母親は2度目の仲裁の儀を果たした

いずれにしても、抗争の手打ちを司る人によって双方の大親分による巫女とのセックスの儀式は行われるんだよそしてどちらの大親分も、巫女に自分の心の全てを見られる

心の中に隠していた秘密の全てを

そのショックで、親分さんたちは本当に抗争を続ける戦意を喪失するんだよほら、手打ちをする素振りを見せながら実際には、裏で抗争を続ける準備をしているような人もいるんだろうし

ああ、相手の裏をかこうととりあえず、上辺だけ手打ちに応じるフリをしていた様な親分も

人の心を見通す巫女の力を体験したらビビる

オレも自分で経験したから判るけれど本当に、何もかも見られているってのが実感として判るから

心を見透かされてしまったのに手打ちを反故にして、さらなる抗争を仕掛けるのは、ちょっと無理だよな

そうやってヤクザ界は、抗争した親分さんたちが、それ以上、暴走しないように釘をさしているんだと思うよだって、親分さんたちが仲間にも隠しているようなヤバイ過去の記憶なんかも、全部巫女に見られているんだし

待って下さい以前の仲裁を体験なさった親分さんが、巫女を抱くと心が読まれるということを誰かに話されたら長老たちが勧めても、巫女の儀を受ける人はいなくなるのではありませんか

いや巫女に心を読まれた体験をした親分さんは、そのことを誰にも話さないよ

そんなのは、誰にも知られたくないことだってヤクザの親分さんなんて、プライドの高い人たちばかりだろうしそれに

自分の他にも、そうやって長老の罠にハマる人が出たらザマアミロって思うんだよそういう性格だよだからみんな黙っている鷹倉神社の巫女には、何か不思議な力があるくらいは、話すかもしれないけれど具体的な心を読まれるみたいな話はしないむしろ、仲裁の儀で巫女とセックスすることには御利益があるくらいのことは言うと思うよ

ヤクザのそれも親分同士なら競い合う関係なんだし

じゃあ巫女が短命だというのは、もしかして心を読まれた親分さんが

いや、それはできないってだって、手打ちの仲介をした長老と、抗争相手の親分は知っているわけだから巫女に心を読まれたことを下手に巫女に手を出したら、その親分の沽券に関わるというか笑いものにされるよ

抗争していた相手が同じ体験をしているということが巫女を守るための抑止力になる

それなら何で、巫女は早く死んでしまうのかな

マナちゃんそれはさ

寧が月子たちを見た

精神的に耐えられないんだよまだ若い女の人なのにいきなり、ヤクザの大親分に犯されて、そいつの頭の中を全部見せつけられるんだよしかも、2人分だよ

確かに耐えられないことだよな

過去に起こした悪事の記憶から次の悪事の計画

ヤクザのオッサンの、他者への悪意や怨恨をことごとく、見せつけられるのだから

普通の人じゃないんだよそんなの、大抵は心が病んでしまうよね

それで早死にしてしまうのか

あるいは自死した巫女も多いのかもしれない

月子たちのお母さんはどんな人だったんだ

優しい人でしたわでも

母は、ほとんど神社の拝殿の中で生活していましたから