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ボクたちは、余りお話をしたりはしていないんです

月子、夜見子、ルナ

お前たちの修行は、誰が見ていたんだ

お祖母様が亡くなるまでは、お祖母様がその後は父と

今、神社に居る清美様や母の姉妹たちが指導に来て下さることもありましたわ

お母様にお会いするのは週に1回ぐらいだったよね

もしかしたら月子たちの母親も、心を病んでいたのかもしれない

それで、拝殿に幽閉されていたのかも

旦那様これまで判ったことをまとめてみましょう

みすずが話題を変えてくれた

あたしたちは、鷹倉神社の巫女には人の心を読むツキの巫女と、人を自分の意志通りに従わせるヨミの巫女の2つがあることは判っていましたが

ヤクザの仲裁をするのはツキの巫女だけってことか

はいツキの巫女とヨミの巫女が、交代で神社の巫女を勤めるというのは、間違いだったようですわ

セックスで心を読むことが仲裁の儀には必要なのだから

うーんとさヨミの巫女の力が元々の、昔からの鷹倉神社の巫女の力でツキの巫女の力は、明治になってから神社にやって来た渡り巫女の力なんだよね確か

寧が、そう言いながら考え込む

ていうか鷹倉神社が、ヤクザさんたちとお付き合いするようになって、仲裁の儀とかを始めたのも、明治以降だよね

これは、あたしの想像だけどさ

鷹倉神社は、古代から続く由緒ある神社だけど明治になった頃には、相当寂れていたんじゃないかな元々の巫女の力もすっかり衰えていたとか

確かに、明治になると新政府が、旧来の神社や仏閣を統制しようとしますし、時代の流れで江戸時代までの信仰が途切れたりしますから当時の鷹倉神社が、苦しい状況だったことは考えられますわ

だから、鷹倉神社は明治政府の弾圧で行き場をなくした渡り巫女たちを受け入れて渡り巫女の霊力を借りて、鷹倉神社の巫女の力を取り戻そうとしたんだよね

でも、渡り巫女を招き入れたことは渡り巫女と深い関係にあったヤクザ界の人たちも鷹倉神社に呼び込んでしまったのでしょうね

渡り巫女は、全国を流浪して、各地で祈祷や神かがりをして、生活のための費用を稼いでいたから

地方ごとに居る地付きのヤクザたちとは付き合いがあった

ヤクザっていのもさ江戸時代までは、そんなに大きな力は持っていないんだよ幕藩体制だから幾つもの藩に跨がるような、大勢力を持つ親分とか存在できないしせいぜい、そこの地元の町の顔役っていうぐらいの存在だよまあ、街道の宿場町同士のネットワークとか付き合いとかはあったからそれぞれの地域の親分が、お互いの顔を知っているとか、親交ぐらいはあったとしても1人の大親分が、各地の親分をまとめて巨大な組織を作ることはできないんだよ

国定忠治にしろ、清水の次郎長にしろ江戸時代末期に活躍した人だけれど、そのストーリーが世に知られて、大衆のヒーロー化するのは明治以降だから歌舞伎の幡随院長兵衛とかは、江戸の町の町奴だからちょっと違うしつまり、江戸時代の渡世人とかは、ただの裏の世界の住人だったけれど明治になったら、ヤクザがヒーローになる様な下地ができたんだよ

それだけ力を付けて、表に出て来る機会が増えたんだと思うよ

旦那様今、日本に残っている地方の豪華な邸宅は、ほとんどが明治以降のものなんです明治になって、幕藩体制がなくなって物流が自由になったこと特に、武士の儒教的な考えによる統制がなくなって、商人が自由に商売できるようになったことそれと鎖国が解かれて、外国との貿易ができるようになったことで、各地に莫大な富を蓄える長者がたくさん生まれたんです

そういう商業の人たちと結びついた、ヤクザも規模が大きくなるよね

ヤクザは明治から、規模を大きくする

規模が大きくなれば抗争も起きるよねそれまでは、自分の地元の町だけで活動していたのが大きく強くなれば、周囲のヤクザたちを傘下に収めて、肥大していくそれがどっかの町で、利権の取り合いになって戦争になる

それで仲裁役が必要になったのね

寧の説明にみすずが、頷く

誰だか判らないけれど渡り巫女の心を読む力が、仲裁に使えるって考えた人がいたんだよそして、渡り巫女は、鷹倉神社に定住していた

そうして鷹倉神社の巫女が、ヤクザに使われるようになる

ヤクザたちが欲しがったのは、渡り巫女由来のツキの力だけだからっていうか、他人を従わせるっていうヨミの力の存在には、気付かなかったのかもしれないその頃は、元々の鷹倉神社由来の巫女は、相当、パワーダウンしていたはずだから

神社の神主が、渡り巫女と結婚して少しずつ、ヨミの力を再現させるというのが、鷹倉神社の悲願だったんだと思うよ

ヤクザたちとの付き合いができて鷹倉神社は、経済的には再興できたんだと思う寄付とかだけでなく、長い付き合いの中でヤクザさんたちが信奉してくれるようにもなったんだし

安藤みたいに、巫女の真実を知らないまま鷹倉神社を、守ろうとするヤクザもいる

だからツキの巫女の養成は、続けないといけないある意味では言葉が悪くてゴメンねツキの巫女は、ヤクザの抗争事件が起きて仲裁の儀をやる度に、使い捨てにされるような存在なんだよだからツキの巫女の方が、候補者が多いんだ

3姉妹のうちの2名

月子とルナはツキの巫女候補者だ

ヤクザの抗争は、いつ起きるか判らないからね

そして、抗争が起きれば多くの場合、処女の娘が仲裁の儀に送り込まれる

だが、ヤクザの大親分、それも2人分の心を見せられた巫女は

心を病み、早死にする傾向にある

それでさ特に、仲裁の結果に生まれた子は、ツキの巫女に廻されるんじゃないかな神主さんの子供はヨミの巫女の方へだって、ヨミの力を取り戻すことは、鷹倉神社の宿願なんだから

神主と巫女の子は、ヤクザたちとは関係無い

一度は巫女の力の衰えた鷹倉神社は神社固有のヨミの力を取り戻したいと思っている

それで、2種類の巫女がいるのですね

瑠璃子が尋ねた

そういうことだと思うそんで多分清美さんという人が、現在のヨミの巫女なんだと思う月子さんたちのお母さんは、ツキの巫女だけを継いでいたんだよ

清美ヨミか

清美さんは、月子たちの母親の姉妹だというし

そして次のツキの巫女候補が、月子とルナで、ヨミの巫女の候補が夜見子だったってことか

オレは、呟く

それは判らないよ、ヨッちゃん月子さん清美さんには、子供はいるの

女の子が1人いらっしゃいますわ

そうだどっちなんだ

暦さんです

コヨミ

ヨミの子か

その子のお父さんは、どんな人

あの鷹倉神社の血縁だと聞いていますが、わたくしは会ったことがありません