アーデルハイトさんも孤児なんだ
ルナたちは、アーデルハイトさんの心を読んでそれを知っていた
読んだのは翔姉ちゃんと、レイちゃんの心だ
香月セキュリティ・サービスは、アーデルハイトさんの履歴を詳細に調べ上げているはずだから
孤児なのに、自力で警護のアカデミーでライセンスを取り、13歳でプロとして生き抜いていこうとしているアーデルハイトさんのことを翔姉ちゃんたちは高く評価していた
その記憶を読んだから
わたくしもなのよお父様を亡くしていますわ
瑠璃子が、寂しそうに微笑む
瑠璃子の父親は香月家の中に乱を起こそうとしたため、ジッちゃんの命で粛正された
ジッちゃんも、悲しそうに瑠璃子を見る
だから、アーデルハイトさん本当に本当に本当に、わたくしはあなたの心に寄り添うことができるわあなたは1人ではないわ
感激するアーデルハイトさん
ただし、あたしたちの家族になるためにはあなたも覚悟していただくわよ
はい条件は承りました全て、受け入れます
アーデルハイトさんは、答える
オレたちの家族になる条件
それはオレの女になるということ
それは条件ではないわよ
はいお兄様に幸せにしていただくというだけのことですから
それよりあなた自身も、この家族を愛し家族のために生きていくという覚悟はできる
みすずのその言葉に
やっぱり、カルトですわ
鳥居さんが、抗議するが
違いますわわたくしたちは、こういう共同体なんです別に誰も強制していません全て、自分の意志で自分の道を決めています
アーデルハイトさんわたくしは、あなたみたいな子、好きよちょっと意固地だけど可愛いと思う
翔姉ちゃんとレイちゃんが、アーデルハイトさんに言う
アニエスも可憐ちゃん、好きですのずっと家族でいたいと思いますの
わたしもそうです
アニエスとルナとコヨミちゃんが可憐さんにそう言う
可憐ちゃんは、どうですのアニエスたちのこと好き
アーデルハイトさんはわたくしたちを姉として受け入れられるそして年下の子たちを妹として
アーデルハイトさんはこの中で一番小さい、真緒ちゃんを見る
あれれれれ真緒は、どうだったっけっ
ん何を悩んでる
真緒はお父さんを殺されちゃったりしたんだっけ
真緒ちゃんは母親の渚1人に育てられた
父親は誰だか判らない
白坂創介の命令で、渚を犯した男の1人だってことは間違いないんだろうけれど
それを突き止めても、何もならないし
真緒ちゃんのパパは、アニエスと同じパパですのっ
アニエスが、真緒ちゃんを抱き締めてそう言う
パパはいるんですのっだから、そんなことは考えなくていいんですのっ
あっ、そっかぁさすが、アニエスちゃん
真緒ちゃんは笑う
まだ幼いから信頼しているお姉さんから断言されたら、あっさり信じてしまう
そうですのねっ、パパパパはずーっと、アニエスのパパですものねっ
アニエスはもう判っているんだ
アニエスのパパ白坂創介とオレが、入れ替わったことを
そして白坂創介が死んだ殺されたということも
当たり前だっアニエスは、永遠にオレのアニエスだからなっ
オレは、アニエスの眼にはっきりと告げる
はいですのっねっパパ
アニエスが、ニコッとオレに微笑む
大好きっ大好きですのっ
オレもアニエスのことが大好きだぞっ
知ってますのパパは、アニエスのことも、真緒ちゃんのことも、みんなのことも大好きですのっだからっ
新しい子たちのことも、大好きになってくれますのっねっ、パパ
オレはアーデルハイトさんと可憐さんを見る
もちろんさっ歓迎するよ2人とも
はーい、ワイン開けちゃうわ大人はワインで子供はジュースで乾杯しましょ
克子姉が、ワインの瓶を取り出す
あ、あなたはダメよまだお仕事が残っているんだからシゲちゃんは、お身体のことがあるから舐めるだけね
オレはジュース
ジッちゃんは、ほんのちょっとだけ
家族だけの部屋だから克子姉は、ジッちゃんをシゲちゃんと読んだ
あー、マナも手伝う
わたくしもお手伝いしますわ
みんなのグラスにワインとジュースを注ぐのにマナと瑠璃子も加わる
今は黒森家の家族の食卓ですから
瑠璃子はうちではすっかり家事を担当してくれている
ううー、わたくしには理解できませんわ
しかし、香月家本家のお嬢様がこんなことをするというのは鳥居さんには納得できないようだ
こんなこと桃子お姉様に、何と報告したら良いのでしょう
さあ鳥居さんのご覧になった通り、お話になられればいいわ
みすずは笑って言う
歌晏桃子様今はあたしにとっても桃子お姉様ねあの方が、あなたのお話を信じて下さるかどうかは判りませんけれど
そうなんですわこんなこと、桃子お姉様はきっと信じて下さらないです
鳥居さんは、頭を抱えている
オレたちの家族のカンケイが根本的に、理解できないんだな
でもみすず様や瑠璃子様だけでなく香月様まで、こんな不可解な集団を認めていらっしゃるみたいですし
同じ食卓でジッちゃんは、ずっとオレたちの様子を見ているんだから
私もこの家族の身内のつもりなんだがね
ジッちゃんが苦笑する
鳥居さんの思考が停止する
うん、そうそうそうだよねっオジィちゃん、大好きっアニエスたちもそうだよねっ
寧が、ニコニコしてそう言う
はいですのっパパのおジィちゃんは、アニエスのおジィちゃんですの
アニエスも天使のような笑顔でそう答える
えその場合は、ひいお祖父様とかにはなるのでは
キョトンとする鳥居さん
君は、何でも論理的に考え過ぎだよ
ジッちゃんが、鳥居さんにそう言う
恐縮する鳥居さん
だが、面白い娘だ歌晏の孫娘が手放さないのは、よく判る
ギロッとジッちゃんに睨まれた鳥居さんは、さらにははーと身を小さくする
君は頭の回転は優れているが自分が育って来た環境の中だけの常識に囚われ過ぎている
だが、その凝り固まった常識が崩れたら見通しの利く娘になれるだろう君の問題は、君の育った環境に起因するものであって君自身の資質とはカンケイ無いからだ
そうなんでございますか
常識を飛び越えて、柔軟な思考を持ち給えこいつのように
ジッちゃんは、オレを示す
こいつは香月家を手に入れたのではない私とみすずと瑠璃子の方を、黒森家に引き入れてしまったんだ
鳥居さんは、言葉の意味が判らないらしい
ジッちゃんたちは、オレの家族だけれど
他の香月家の人たち香月操や昴、仁たちはオレの家族ではない