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なるほど、その隙を付いて全員で襲いかかって人質にするのか

天童貞男が、納得する

そういうことさとにかく、1人人質をゲットできれば相手は子供だ、アタシらの要求には逆らえなくなるよ

メシ食わせてもらえますねっ

バーカ、逃げる方が先だよっ

イワサキ・ヒロミは、改めて徳大寺という音海のヤクザに振り向く

ということだから徳大寺サン、あそこで首をくくって

おう、徳大寺ワシのためだと思って、潔く死ねーいっ

部屋の中のオッサン・ヤクザとケバいオバサンたちの眼が徳大寺に集まる

父の病院の付き添いの帰りにコーヒー店に入ったら

それで父と時事ニュースについて、適当に話していたら

(父の呆けの確認のために、わざと最近のニュースについて話すようにしています)

隣のテーブルに座っていた年輩の男性が

ボクの認識とはちょっと違うな

と、突然、持論を私たちに熱く語り出しました

いや、現実世界で、ツイッターみたいなことをされると

何か困るというか

だって、私と父の会話は

私維新が分裂するんだってね

父どう分裂するんだっけ

私石原グループと橋下グループだよ

父後、一つはどこだ

私もう1つって

父3つに分裂するんじゃなかったか

私そんな話は、聞いたことがない

こんな会話に割り込まないで下さい

適当に相づちを打って店を出ました

914.夜は楽し / 死んでもらいます

結局、あの徳大寺という人が一番弱い立場なのね

天童貞男たちの部屋の様子を映すモニターを見ながらミナホ姉さんが言う

そうだね自分の娘を他のオッサン・ヤクザたちに差し出さないといけないぐらいだもんね

判るついつい、喋っている人たちばかりに注目しちゃうけれど部屋の中にヒエラルキーが存在しているのよ

ヒエラルキー

人間集団におれる階級制のことネ

イーディが、笑顔で教えてくれた

ほら、天童貞男さんと楽しそうに罵り合っていた人たちって全体の半分くらいだけでしょっ

今、槍玉に挙げられている徳大寺さんを始め残りの人たちって、ずーっと部屋の端の方に居てさ兄貴分の天童貞男さんたちが椅子に座っているのに、立ちっ放しでしょ

確かに寧の言うとおりだ

全然、兄貴分たちの会話にも参加できないで大人しく、話を聞いているだけでさ

グループのリーダーの天童貞男と自由に話をしている兄貴分たちと見ているだけで、会話に割り込むことも許されない下っ端たちに、ヒエラルキーが別れているんだよ

天童貞男やイワサキ・ヒロミの勢いのあるバカ話のせいで部屋の奥の人たちの方を注視していなかった

そして兄貴分たちの中にも、細かい立場の強弱があるわ

天童がリーダーで、イワサキ・ヒロミがサブ・リーダーみたいな

意見を言うにしたって、天童貞男のことを天童サンと呼ぶヤツもいれば、天童のアニキ、あるいはただアニキと呼んでたりもする

それがそれぞれの人間の階級を暗示している

逆に下っ端の連中だって、格差があるんだよっ

兄貴分たち全員から、死ね死ね言われている徳大寺っていう人が一番立場が弱いってことだよね

天童貞男さんたちは、ヤクザ組織の中の鉄砲玉と呼ばれるはみ出しモノたちの集団よ全体として、きちんとまとまった集団ではないわ今回の東京遠征のために急遽、集められた人たちのはずなのよ

なのにみんなして徳大寺さんをイジメてるわ誰1人、徳大寺さんを助けてあげようとはしないでしょ

モニターの中では徳大寺が、他のヤクザたちから早う、死なんかいと吊し上げにあっている

やだよねー、こういう人たちこいつは、幾らイジメても刃向かわないだから、こいつはイジメてもいいんだって判断したら、徹底的にイジメるから

好きか嫌いかとか、良い人か悪い人かじゃないんだよっイジメてもいい人間だっていう場の空気を感じたら何も考えずにイジメに入るからっ

動物なんですよ人はなく

ハイジさんが、小さな声でそう言った

イジメられる方にも、問題があるっていうのは勝手な理屈ですからゲンジツには少しでも、イジメの対象にできそうな人間がいれば、アイツラは襲いかかってくるんですよ人の心の隙を狙ってくるんです

売春窟の出身の孤児で日本人とのハーフ

ハイジさんは、ヨーロッパで色々と苦労したんだろうな

確かあのヤクザたちに東京遠征中の慰み者にされたのは、徳大寺さんの娘とシゲヨっていう子だけだったわよね

ミナホ姉さんが、スッと話を変える

うんそうだったよ

おそらく、一番弱い立場なのが徳大寺さんでその次が、シゲヨっていう子の父親なんでしょうね

立場が弱いから自分の娘をアニキたちに差し出して、堪えないといけない

イジメる側からの圧力だけじゃないんだと思います

他の下っ端のヤクザたちも自分たちの娘たちまで、相手をさせられるのは嫌だから一番立場の弱い人にたち、自分たちから娘を差し出すように圧力を掛けたはずです

自分たちのところに火の粉が飛んでこないように一番、弱い人を追い詰めるんです

思い詰めた眼でそう言う

ハイジ、しっかりするネ

イーディが、背中からハイジさんをギュッと抱き締める

アタシたちは、そんなことはしないネダッテ強いからヒドイことをスルやつには、シスター・イーディがキックで制裁してヤルのネ

そうそう、今のハァちゃんには、強いお姉ちゃんたちがいっぱいるんだからねっ大丈夫だよっ

怖がることはありませんよ

レイちゃんも、ハイジさんに微笑む

あああれだけ強がっていた裏側には、色々な思いがあったんだな

ハイジさんは、ずっと一人きりで闘って来た子だから

さてじゃあ、そろそろ、あっちのイジメも終わりにさせるわ

麗華さんと寧、こっちに来てくれる

こっちとはカメラの前

あの人たちだって藤宮麗華さんの顔は知っているでしょそれから寧は、さっきカラオケ店であの人たちと会話しているのよね

レイちゃんと寧の顔を、天童貞男たちは知っている

木下さん天童貞男さんたちの部屋と回線を繋いでくれるかしら

はーい、喜んでーっ

木下さんが、カチャカチャとパソコンを操作する

はーい、準備できましたっ

だからな、徳大寺ワシは別に、難しいことをオメェに頼んでいるわけじゃねぇんだ

天童貞男が、他のヤクザたちに取り囲まれた徳大寺に言う

簡単なことだあそこに首を吊って、死んでくれ大丈夫だ、やればできる人間、辛抱だ首をくくったら、窒息する、血が止まるどんな人間もあの世に行くオメェみたいな、クズ野郎だって確実に死ねるほら、死ねぇ