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マナの提案に驚く、テニス部の子たち

だって、あたしたち初心者ですよ

失敗しちゃうかもしれませんし

大丈夫失敗しないように、あたしが教えるから

マナは胸を張って、そう言う

ほら調理実習の後とかにも、これあたしが作ったんですーっとかお前が作ったのをオレにくれよとかそういう甘酸っぱい会話が執り行われているんでしょ

あたしは女子校出身だったけどでも、女子校でもあるから先輩の焼いたクッキー下さいとかさ

まるで、もう高校を卒業している社会人のようにマナは、余裕たっぷり言う

実際は中学2年の14歳でしかも、この半年は学校に通っていないのに

だからさ、今日の試食会だってそういうことになるんじゃないの男の子たちが、あなたたちのことを意識してあなたたちも、みんなにアピールする

テニス部の子たちは、戸惑っている

これは、あたしたちが作りましたっていうんじゃあ、テニス部全体のイメージになっちゃうけれどあたしが作ったパンですなら、あなたたち個人のイメージアップになるでしょ

でも他の子と同じパンを作っているんですから食べ比べとかされたら

お前の方がマズかったとか、言われたくないですし

テニス部の子が、そう言う

ああ、それは平気だってみんな、別々の種類のパンを作ってもらうから競合しなければ、比べられないでしょ

元の生地は同じで形やトッピングで変化を付けるからまあ、その辺は任しといてあなたたちの評判が良くなるようにしてあげるからっ

マナは、克子姉の喋り方や勢いを真似している

そうすることで、年上の頼れるお姉さんを演じているんだ

ほら、みんなマナさんに、お任せしましょうよどうせ、みんな初心者なんだからあたしもいつもパンを売る方には参加しているけれど、自分で作るのは全然なのよ

可奈センパイが、部員たちにそう言う

だから、今日は楽しみっ基本的な作り方を覚えたら幾らでも応用は効くんですよね

そうだよだから本番の学園祭の時には、もっと凝ったパンを出しても良いし今日はとにかく練習だから

そうよできたパンだって、今日はタダで試食させちゃうんだから気軽にいきましょう気軽にさっ

うん、マナと可奈センパイが明るい方向に持っていってくれた

あ、愛も時々、あたしたちをの方を見て、何か思うことがあったら言ってよねあなたも、パン作りはもうプロ級なんだからさ

愛が可奈センパイにうなずく

とりあえず、パン講座の方は上手くいきそうだ

じゃあ、悪いけれどあなたも、生地を作る準備をするところまでは一緒に見てあげてあたし、ちょっと電話してくるから

岩倉さんの件で、ミナホ姉さんに相談するのか

ホントに今日駅前ホテルの地下の新しい娼館に連れて行って良いかって

じゃあ、頼むわよ

克子姉は、奥の休憩室の中に入っていく

あそこは、オレたちがこっそりセックスする部屋だから完全防音だ

しかも、外部への通信回線もある

はーい、それじゃあ始めようかっ

こいつも頭が良いんだよな

ボロを出さない

テニス部の子の前ではオレのことをお兄ちゃんとは呼ばないし、愛たちのお前にもお姉ちゃんを付けない

演じきる力

そう言えば、最初に出会った頃からマナには、そういう力があったっけ

まず、手を洗ってそれから、髪の毛が落ちないように調理用の帽子は

ここにストックがあるよ

愛が、白い布製の帽子を人数分取り出す

手の洗い方も、普通より念入りにやりまーす食べ物を扱うバイトをしたことがある人は判っていると思うけれど

マナが、先生らしく言う

アタシ、ちょっと外をグルッと廻ってくるネ

壁際に立って、ずっとオレたちの様子を見ていたイーディがそう言う

あけ、イーディちゃんもパンを作ればいいのに

そうだよ一緒にやろうよ

テニス部の子たちが、そう言ってくれるが

ソレは、アンタたちに任せるヨスグ戻ってくるカラ

外へ出るドアでなく、学生食堂に繋がっている方のドアの鍵を開けてイーディは、出て行った

岩倉さんが、手下を忍ばせているんじゃないかとチェックしに行ったんだと思う

はいはい、じゃああたしの方を見てまずは

マナが、テニス部の子たちの関心を、自分に引き戻した

はーい、みんなマナさんに注目ぅぅ

可奈センパイも連携する

流石だ

ん、どうした

試作してみたいパンなんだけれど

愛がオレにレシピの乗った本を持って来る

それじゃあ、マナさん後、お願いね

了解でーす、克子さんっ

電話を終えて、休憩室から出て来たあと

パン講座の進み具合を確認して、克子姉は言う

じやあ、みなさんごめんなさいねあたしは、この人を連れて出掛けるから

え、パン屋くんもいなくなっちゃうの

驚くテニス部員

こちらの高校の理事長に会いに行くのよパン技能士コースのことについて、講師のあたしと生徒のこの子の意見をお聞きになりたいからって

ミナホ姉さんは今はホントにこの高校の理事長だから、克子姉の話は嘘ではない

ミナホ姉さんの前の理事長は克子姉自身だったけれど

今も、理事の1人ではあるはずだ

愛は行かなくていいんですか理事長のところへ

パン技能士コースは、オレと愛の2人だけなんだよな

別に2人揃って行く必要はないわよ意見をお聞きになりたいだけなんだからこの人だけで充分よ

あ、愛って話すのが苦手ですもんね

テニス部の子たちは、良い方に受け取ってくれた

そういうことだから愛ちゃん、お留守番頼むわここの備品の管理は、愛ちゃんがしなくちゃいけないんですからね

オレが居なくなったら、正規のパン技能士コースの生徒は愛だけなんだからテニス部の人たちが、勝手に備品を使わないように見ていないといけない

愛さんちょっとオーブン見せて

愛に許可を取るという形を示してくれた

うんうちのと同じだねなるほどだいたい判った

このパン工房の中の機材はお屋敷の克子姉のパン焼き厨房と、ほとんど同じレイアウトで配置されている

それは、オレがどちらの場所でも、戸惑わずに作業できるようにだ

いつもお屋敷でパンを作っているマナも、混乱はしないはずだ

えっとボウルとかパッドとかは

おそらくお屋敷と同じ場所にしまってあるだろうと判っているのに、マナはあえて愛に尋ねる

判った開けるよ

愛の顔を潰さないように部外者の特別講師として振る舞う

うん、マナに任せておけば安心だな

可奈センパイだけでなく、イーディも学校に残るし

校長室の地下の部屋から、寧も監視してくれている

じゃあ、皆さん楽しんでね

オレは、テニス部の人たちに頭を下げる