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美里さんが、そう答えた

家の負債は誰かが、返済しなくてはならないのですわたくしのこの心と身体と5年間という時間で、弁済できるのでした、わたくしは喜んで娼婦になりますわ

バッカじゃないのっバカバカハーカ

朝比奈さんは、喚いた

そりゃ判っているわあたしたちが、あんたたちの言う通りにしなけりゃお父さんは自殺するしかないって下請けの人たちにも、迷惑を掛けるってことは

白旗さんが、そう言う

あんたたちにお金や権力を持っている連中が付いていることも判ってる警察とかに逃げ込んだりすることも無理だってことは

住友さんは、キッと克子姉を睨んで

あんたたち卑怯だよホント、卑怯なヤツラだって思っている

あたし、ここの人みんな大っ嫌い

朝比奈さんも、克子姉を睨み付ける

白旗さんも、同じ考えかしら

克子姉が苦笑して尋ねると

あたしは今更、文句を言ってもどうにもならないことは判っていますでもせめて、もう少し、あたしたちが気持ち良く娼婦の仕事を我慢できるようにあなたたちが気遣いしてくれるべきだと思います

だってどうすね、あなた

克子姉は、フフンと鼻で笑ってオレを見る

なら、しょうがないよな白旗さん、住友さん、朝比奈さんはクビだ

そういうことになるわよね

3人の顔に、動揺が拡がっていく

月子を呼んで、この3人のここで見聞きしたことに関する記憶を全部消去させようそれで東京駅の前にでも、放置する金は、1人3000円ぐらい持たせてやるから

さ、3000円じゃ長野まで帰れないわよっ

住友さんが、反射的にそう言うが

そんなのは、オレの知ったことじゃない無一文どころか、裸で街中に放り出したっていいんだぞ

あたしたち的には生きたままご実家に返してあげる道理も無いのよね

克子姉が黒い森の人間としての表情を見せる

あたしたちをこ、殺す気なの

朝比奈さんが、大きな声で反応する

オレたちにはあんたたちの記憶を消すのも、あんたたちを始末するのも手間は、大して変わらないんだよどっちだっていいんだ

どっちにしたってそうなったら、あなたたちの家は破滅よあたしたちが、あなたたちのお父さんに貸した資金は、全額回収するからホント、あんたたちって馬鹿よね

政財界の名士のお相手をする特別の娼婦だからこそ、高額のお金を支払っていただけるのだし名士の方たちと親しくなることもできるのにだから、たった5年間で、あなたたちのお父さんが背負った負債が返済できるんだし5年後には、コネを生かして事業を興すこともできるこんな、夢みたいな話はなかなかないのよ

そんなの全てが上手くいった時の話ですよね

朝比奈さんが、克子姉に言う

当たり前じゃないあたしたちはチャンスをあげただけよ上手くいくかどうかは、あなたたちの努力次第そういうものでしょ

あたしたちはあなたたちが信用できないんです

あなたたちの言っていることは理解できます理屈は判りますでも信用できるかっていうと、そうではないから

あたしたちが信用できるようにして欲しいんだよ

住友さんも、強気で言った

オレたちが、信用できないんだろじゃあ、これまでだ

お前たちは放り出すそれでお前たちの家や親たちがどうなろうと、オレたちの知ったことじゃない

ええおそらく、家族離散ね借金はそのまま住友さんのお父さんなんて、アブナイ筋の人からもお金を借りているから取立はなくならないわよ地元に帰ったら、援交売春組織で働かされることになるでしょうね他の2人も18歳になったら、そのまま売春産業に沈められることになると思うわあなたたち、そこそこ可愛いから

ああ借金を抱えた家に綺麗な子が居れば、誰だって売春させようと思うよそういうヤバイ連中が、絶対に近付いて来るから

ここに居れば、政財界の皆様のお相手で、5年間で返済できるお金が援交売春組織じゃ、全然減らないでしょうねしかも、うちは1晩にお一人しかお客を受け付けないけれどヤクザの経営だと、1日に何人のお客を相手させられるか判らないわよ

しょうがないよこいつらは、そういう人生を選んだんだからさ

オレも、そう言い切った

そんな一遍にいろいろ言われても

か、考える時間を下さい

住友さん、白旗さん、朝比奈さんはそう言うが

ハッキリと告げる

オレたちは、地獄に堕ちそうなお前たちにチャンスをやったこのチャンスはお前たちから見たら、クモの糸みたいに細くて切れやすいものにしか見えないんだろうけれどクモの糸が切れないように、注意深く這い上がって来るのは、お前たちの仕事だ

あたしたちは絶対に切れないロープなんて投げてあげないわよ

ひ、ひどい

朝比奈さんが、思わずそう言う

甘えるなオレたちは、犯罪組織の人間なんだぞそして、お前たちが娼婦になるっていうことは、オレたちの共犯になる覚悟をするっていうことなんだいつまで、被害者ぶっているんだ

あたしたちは絶対に、あなたたちを甘やかさないわよ何でだか判る

克子姉の眼が据わる

あたしたちも、犯罪組織に生き延びるチャンスを貰ってそして、自分で這い上がって、今ここに居るからよあたしもこの人も

そうだミナホ姉さんに出会わなければ、オレは

オレだって今頃は、死んでいたと思う

絶対に、こいつらに甘い顔はしない

自分で生き延びる努力のできないやつは助ける価値は無い

と美里さんが、笑顔を作って言う

わたくしも黒森様にチャンスをいただきましただから今、必死に頑張っています世間知らずでもここで頑張らないと、何も始まりませんから

一生懸命に笑って場を和ませようとしてくれている

ですから住友さんも、白旗さんも、朝比奈さんもわたくしと一緒に、頑張ってみませんか確かに辛い道ですけれどわたくしたちには、この道しかないのですから

3人は黙ったまま、美里さんに答えようとしなかった

そうだなここから先は、言葉じゃないよな

この一週間で、克子姉たちから習ったこと成果を見せてもらえますか

美里さんは頬を赤らめて

はいお相手させていただきます

ありす、お前も一緒だ

オレは、ありすに振り向く

美里さんと一緒にお前も抱きたい

ありすは、笑顔で答えた

キヌカ、可憐の手を握っててあげて

はい、ありす様

ありすは、キヌカに可憐を託す

すぐに、お前たちも呼ぶから

オレは、ミタマたちにそう告げた

まずは美里さんのありすの姉妹丼からだ

美里さん、ありすに美里さんが習ったことを教えてあげてくれ

その方が美里さんが、どれくらい克子姉たちの講義を自分のものにしているか、良く判るから

ああ、判りました