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狩野桜子様のご両親がいらっしゃっていますわ

桜子さんの顔が、青ざめる

桜子さんの両親ジッちゃんや歌晏さんと同世代だった先代当主は、もう亡くなっているから

桜子さんのお父さんが、名家・狩野家の現当主だ

資産は失っていても香月家、歌晏家と並ぶ名門中の名門家

そうかジッちゃんらしいやり方だねいつものパターンだ

オレは桜子さんに笑顔で、平然と言う

大丈夫だよ、桜子さんオレたちが付いているから心配するようなことは、何もないからさ

ええ、旦那様に全てお任せしていれば問題ないわ

みすずも笑顔で、桜子さんに言う

黒森様、みすず様

オレにとっては、いつものことだから全然、平気だよ

桜子さんの不安を少しでも取り除かないといけない

うんなるほど桜子さんのお父さんとお母さんが来ているんなら、別のフロアの部屋に連れて行くよな

精神が不安定になって家を飛び出した娘を探しに来たんだろうから同じフロアに連れて来たら、1部屋ずつ調べようとするかもしれない

まあ、ジッちゃんの特別室は、どうやっても開けられないと思うけれど

じゃあ、上の階に狩野家の当主夫妻がいらしていてもちろん、そのことを香月様はご存知なのよね

桜子さんは今日、家の車でこのホテルに来た

狩野家の運転手さんが、狩野家に連絡したかもしれない

あるいは昼食時に、桜子さんの許婚者だった男をここのホテルのレストランで叩きのめしたから

あの男の家から、狩野家に連絡が入ってこのホテルに桜子さんが居ることを知ったのかもしれない

でも、いずれにせよここのホテルが香月家の特別な施設だということは、名家の人間なら全員知っているはずだ

もちろん、狩野家の人たちだって知らないはずがない

だから、ジッちゃんに何も言わずにいきなり、押し掛けて来るなんてことは絶対にないはずだ

桜子さんを連れ戻しに来るのなら事前に、ジッちゃんの許可を取らないと

はい、もちろんご存知ですわ上のフロアのお部屋にお通しするようにというのも閣下のご命令でございますから

ということは香月様も、こちらへいらっしゃるのよねもう着いていらっしゃるそれとも

ジッちゃんが来るのなら

オレたちだけで、桜子さんの両親に会うのは待った方がいい

いいえ、閣下はいらっしゃっておられません

上のフロアに、到着なさっておられるのは歌晏様ですわ

わ、わたくしのお祖父様がいらしているの

ジッちゃんでなく歌晏老人が来ているのか

はいですから、こちらのフロアにはお通しできなかったんです

ジッちゃんが来ていないのにレイちゃんたち、香月家の臣下が、ジッちゃんの専用のフロアに他家の人たちを連れて行くことは許されない

なるほどねよーく、判ったわ

桃子姉ちゃんは、溜息を吐く

覚悟して行かないといけないわよ公ちゃん、桜子

さてどうなる

となるとこのメンバー全員で行く必要は無いわよね

桃子姉ちゃんは、みんなを見る

とりあえずセバスティアヌスは席を外して狩野様はご自分の家の問題を、他家の臣下に知られたくはないはずだもの

まずは自分の警護役をメンバーから、外そうとする

セバスティアヌス(山田梅子)さんは、困惑している

ああ、そうか歌晏さんが来ているんなら姿を見せないと、警護役の仕事をサボっていると思われちゃうかもしれないんですよね

オレは彼女の心配に気付く

だったら部屋の前までは一緒にいらっしゃいわたくしたちがドアを開けたところで、お部屋の中にいらっしゃるお祖父様に会釈なさいそれで、そのままセバスティアヌスは、中へは入らずに廊下で待機よ

美智も、そうした方がいいわね

美智も狩野家の当主にとっては、他家の臣下なんだから

中へは入らない方が良い

シエもお二人と一緒に、廊下の外からご挨拶だけして部屋には入らないでちょうだい

桜子さんが、自分の警護役の不知火さんに言う

わたくしと一緒だとシエが、お父様に叱られてしまうかもしれないから

警護役なのに桜子さんの純潔を守れなかったことを叱責される

いいのよわたくしが、立ち合って欲しくないの自分がしたことの責任は、自分で取りたいのよわたくしのしたことで、シエが責められるのを見たくはないのよ

不知火さんは、言葉を詰まらせる

みすずお姉様香月家としてもわたくしたち3人が揃ってお邪魔するのは、良くないと思いますわ

そうねみすずに、瑠璃子に、美子さん3人が揃って顔を出す方が変よ

それに桜子さんに関する話をまだ中学生の瑠璃子の前するのは、狩野様たちはお嫌だと思うわ

桜子さんの本当のお母さんのこととかも、話題に出るだろうし

そうね香月家の代表として、あたしがご挨拶しますだから瑠璃子と美子お姉様は、別の部屋で待っててちょうだい

3人の中での一番の年長者は、美子さんだけれど

歌晏家の桃子姉ちゃんと並んで、香月家の代表者役となるのはみすずが適任だ

歌晏様と狩野様ご夫妻のいらっしゃるお部屋の隣をすでに用意させてあります

レイちゃんがすぐにそう言う

さすが、レイちゃんだ

今まで居た部屋はせっかく掃除も全部したんだから、もう使わない

ここに残るより隣の部屋に居てくれる方が、連絡も取りやすいし

じゃあ、瑠璃子と美子さんそれに克子姉とヨミ、美里とまり子も、そこの部屋で待っててくれよ

克子姉とヨミはそもそも、桜子さんの問題とは無関係だし

巫女の力を持つヨミを連れて行くことは、歌晏さんが嫌がると思う

美里は没落したとはいえ名家・鞍馬家の娘だから、狩野さんたちの前に出るわけにはいかない

まり子も名家ではないけれど、トリイ電子の社長令嬢だそれに

あら、わたくしは行くわよ

まり子は、ニヤッと笑う

わたくしは、桜子の従姉妹なんですから狩野家は、わたくしにとっては母の実家よ桜子の付き添いとして、わたくしが立ち合うのはおかしな話ではないわ

それもそうだけれど

まり子余計なことは言うなよ

この子は、勝ち気で場の空気を読まないで、自分の思っていることをそのまま口に出すクセがある

何よ、そんなことを言うけれど公の方こそ、歌晏様や狩野のおじ様たちに会うことはないのよ

何でだよオレは、当事者だぞ

オレは桜子さんを買って

ロスト・ヴァージンさせた相手の男だ

オレが行くのは当たり前だろ

と克子姉は

あら、普通の男の子なら逃げちゃうと思うわよこんな状況になったら

何でさオレが言って話をしないとどうにもならないじゃないか

て、ことはあなた、何もかも正直に話すつもりなの

桜子さんの両親はオレのことを知らない