それにしても集めていらした臨時雇いの素多たちの質が悪すぎますわ
桃子姉ちゃんが、自分の祖父に言う
あんな人たちでは、居ても戦力にはなりませんわ足手まといになるだけです
今の不知火さんではあの3人の黒服に、適確な指示を与えて統率するのは無理だよなあ
それも仕方がなかったのだろう今の狩野家ではあの程度の連中を雇うのが精一杯なんだと思う
歌晏老人は、そう言うと狩野典明氏に振り向いて
不知火くんの方からは君に現場から外して欲しいとは言ってこないだろう彼の性格では身体がもう無理だと感じていても、頭の方が自分の衰えを認めないと思う
心も身体も、完全にダメになってしまうまで頑張り過ぎてしまうんだろうな
ああいう人の場合は
だから、君のほうから角が立たないように、自然に不知火くんを現場から引退させた方が良いわたしは、そう思うね
口籠もる狩野氏
こんな状態でも、不知火さんが警護役を辞めさせられないんだから狩野家には、人材が全くいないからだ
先祖代々、狩野家に仕えている不知火家の人間ぐらいしか今のお金のない狩野家には臣下が残っていないのだろう
これは忠告だよ典明くん
歌晏さんは重い声で言う
判りました歌晏様のご命令に従いますその代わり、不知火の代わりにどなたか良い警護役を、わたしの家に派遣してはいただけませんか
警護役の派遣
それも、できましたらあのお恥ずかしい話ですが、ご存知の通り今の狩野家では歌晏様のお使いになっているような警護役は雇えませんですから
警護役に支払う賃金の一部を歌晏家に、援助して欲しいということか
あるいは、歌晏家の警護人を無償で、狩野家に貸して欲しいということか
わたしのところには、今は警護の人間は余っていないむしろ、わたしも良い警護人が見つかったら、雇い入れたいぐらいだ
歌晏さんは、苦笑する
そういう話は、こいつとしてくれ警護人なら、香月セキュリティ・サービスにたくさん居るはずだ
ていうか名家への警護員の派遣が、香月セキュリティ・サービスのメインのビジネスだ
うちは無償でのサービスはしません正規料金でしたら、何人でも警護の人を派遣しますよ
か、狩野家は数ある名家の中でも、さらに名門の家だぞ
狩野典明氏は、オレの態度にカチンときたのか大きな声で叫ぶ
だから何なんですか名門の家だから安く警護人を派遣しろってことですかそれとも、いっそのこと無料奉仕しろって話ですか
そ、そんなことは言っていないぞ
狩野典明氏はうろたえる
図星だったか
オレはそういうことは一切しませんから
そうよ、公ちゃんはビジネスとして会社を経営するんですから狩野家にだけ特別待遇を与えるなんてことはできないですわ
そんなことをしたら、他の名家も狩野家と同じようにしてくれって、言ってくるに決まってますもの
狩野家だけに料金を安くしたりしたら
他の家も狩野家と同じ様に、正規料金から値引きをしろとか
無料で警護人を派遣しろとか
勝手なことを言い出すと思う
オレになら、ジッちゃんがオーナーだった頃より文句が言いやすいだろうし
でも、わたしは歌晏様のご命令で、不知火を引退させなくてはならないわけですし
狩野典明氏は、そんなハチャメチャナ理論を言い始めた
わたしは命令なんてしていないよわたしがしたのは忠告だ
名家の当主は他家の当主に命令したりはしない典明くん君だって、もう、名家・狩野家の当主なのだから当主としての役目は何なのかを自分で導き出して、君の責任を果たしたまえ
結局、老いた忠臣に引退を命じるのは主人としての仕事だ
歌晏さんに命じられたから仕方なくするようなことではない
ですが、わたしの家は
狩野典明氏は、必死に家の窮状を訴えようとする
知らんよ君の家のことは、君が何とかしたまえ
歌晏老人は、強い言葉で狩野氏を突き放す
さて取りあえず、これでお互いがどんな人間なのか見当が付いたと思う
歌晏さんは、ザッパリと話を変えた
はい大体判りました
オレは歌晏さんに答える
桜子さんのお父さんの性格は、よく判った
この人は何でもかんでも、人のせいにするタイプだ
さっきからでもとかしかしとかばかり口にしている
狩野家の現状が、かなりヤバイということについては自覚があるみたいだけれど
だからって建設的で前向きな話は、自分からは絶対にしない
なかなかメンド臭い人だ
名家中の名家、狩野家の当主であることに大きな誇りを持っているけれど
逆を言えばそのちっぽけなプライドだけにすがっている男だ
狩野典明氏は、歌晏さんの言葉の意味が全然判っていないらしい
典明くんは、この少年をこいつは典明くんを、お互いがお互いを理解しないことにはここから先の話し合いはできないのだよ
歌晏さんは、狩野氏にそう言う
なぜ、わたしがこの子供と話をしなくてはならないのです
狩野典明氏は、憮然とした態度でそう言う
わたしがここに来たのは娘の桜子を連れ戻すためです彼とわたしが理解し合わなくてはいけない理由なんて何もないはずですが
ああ、このオッサンは
想像力にも欠けているんだな
それはだな桜子くんの件で、この少年は典明くんと話さねばならないことがあるからだ
歌晏老人は、そう言うとオレに
でどうだったんだやったのか
またずいぶん
ストレートに聞いてくる
はいやりました
オレもストレートに返答した
きっちり、やりました口に1発、あそこに3発出しました
き、君は何の話をしているんだ
狩野典明氏は、ポカンとした顔でオレに言う
この人は桜子さんが、オレに売春したなんてことを
少しも、想像していなかったんだ
自分の娘は、そんなことをするはずがないと思っている
あるいは桃子姉ちゃんや、まり子が、桜子さんの暴走を止めてくれたはずだと信じている
このオッサンは世の中は、全て、自分の都合が良い方向に転がって行くものだと思いこんでいるみたいだから
オレは狩野桜子さんとセックスしましたヴァージンでした桜子さんの処女は、オレが奪いました
オレは、大きな声ではっきりと言った
知らないうちに、もう5月
困った、困った
1249.桜子・売春したいお嬢様 / 結審
オレは、大きな声でそう言うと
そんなはずがない
桜子さんの父狩野典明氏が叫ぶ
桜子は、狩野家の娘だぞっそれが、お前のような下賤な輩《やから》に
ヤカラって何だよ
そんなことは絶対にあってはならないことなんだぁっ
50歳近い年齢のオッサンが喚く