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まり子、大丈夫なの

桃子姉ちゃんが、まり子に尋ねる

問題ありませんわうちのお父様は、わたくしのお願いは何でも聞いて下さいますし桜子なら、家族全員大歓迎ですわ

鳥居家は、母親が狩野家の出身だし

名家との繋がりを欲しているから、桜子さんを喜んで迎えてくれるだろう

ふむ一般の家が、名家の娘を迎え入れるという形にするのかそれならば狩野家の連中も受け入れると思う

歌晏老人は、納得する

狩野家の改革は神崎家と鳥居家が共同して行うんですよねそれでしたら神崎家に前当主の嫡男の典靖様が行かれるのなら、鳥居家がご令嬢の桜子をお預かりするのは、おかしなことではありませんわ

歌晏老人にまり子は笑顔で言う

なるほどまり子くんに、こうまで政治的なセンスがあるとは知らなかったな

歌晏老人も微笑み返した

さっきのまり子くんを狩野家の次の当主に据えるというのは、なかなか良いアイデアなのかもしれんな

え、本当にまり子が当主になる

そうでしょ、お祖父様

自分の妹分を褒められて桃子姉ちゃんは、嬉しそうに言う

いや本当のことを言うとだな、わたしも香月も、狩野家の次の当主は、10年ぐらいは決めるべきではないと思っているのだ

10年間当主が不在

名目上は病気療養中の典明くんを当主のままにしておいて、家の差配をする当主は置かない方が良いいや、長い名家の歴史の中には、こういうケースが何度もあったのだ

これだけ狩野家の内部が混乱しているのに、この上、跡継ぎ争いまで起きたら本当に家が滅ぶだから、今は家の立て直しの方を最優先にさせたいのだ

お家騒動が起きるのは、確かにまずい

だから、聡子くんこのまま、君の典靖くんが次の当主になるという可能性もまだ残っているし、狩野家の分家の中から適当な人物を抜擢するかもしれないもちろん、さっき話が出たように鳥居家からまり子くんに当主になってもらうというアイデアもアリだそれは全て、これから先、10年間の狩野家と、それぞれの声歩車の成長を見て決めることにしたい

その10年の間に神崎家は、自分の血の入っている典靖少年を擁立しようとするだろうし

狩野家は、家の内部から後継者候補を選ぼうとするかもしれない

鳥居家が、本気になってまり子を押そうとするかもしれないし

でも、10年間は決めないというルールがある以上各勢力は、それぞれ10年後に向かって全力で狩野家の再興の方に力を注ぐ

いずれにせよ、名家・狩野家の再興に関わることはそれぞれの勢力にとってメリットがある悪い方向に進まないように、わたしや香月が調整するから安心していたまえ

お祖父様桜子さんには、狩野家の当主になるチャンスは無いのですか

桃子姉ちゃんが、不意に歌晏老人に尋ねた

残念だがそれは無い今現在桜子くんを押す勢力は存在しないのだからね

歌晏老人の言葉に、桜子さんはビクッと震える

本当の母親が一般人で、すでに亡くなっている桜子さんには後ろ盾がない

だから桜子くんは自由なんだ君は自由に自分の人生を生きなさい

歌晏様

誰が何と言おうと桜子くんが名家・狩野家の娘であることは変わらないだから、これから先もわたしと香月が、桜子くんは名家の一員としての地位を保証するしかし桜子くんは、名家の令嬢としての義務を負う必要は無い

今の桜子くんには、もう、狩野家のためにどこかの名家に嫁に行くという義務も無いどの勢力も、桜子くんを利用することがないように徹底させる

歌晏老人は、そう言うが

それは困りますわ義務を負わないのに、権利だけをいただく訳にはまいりません

桜子さんが、慌ててそう言い返す

桜子くんの場合は、名家の一員としての義務を免除されたわけではない今の名家の世界には、君に義務を負わすことができる者がいないのだ

歌晏さんは、低い声で答える

狩野家の当主は、10年間は不在になる君に何かを命じる者はいないわたしや香月も、狩野家の娘である桜子くんに、不当を要求をすることはできない

歌晏家、香月家、狩野家3大名家は同格なのだから

歌晏家や香月家の当主が、狩野家の娘を勝手に結婚させたりはできない

いや、歌晏さんもジッちゃんも権力者だから強制することはできるだろうが

わたしも香月も名家の当主としてのプライドがあるそんなことは、決してしない

歌晏さんは断言する

狩野家の連中が、桜子くんに無理な要求をする可能性もあるが今の狩野家は、君や君の本当の母親に対する負債の方が遙かに大きいはずだとわたしは考えているこの上、桜子くんに狩野家のために人生を捧げろなどと言い出す者がいたら、このわたしが直々に成敗する

狩野家の内部の人たちには、桜子さんに手を出すなと歌晏さんが脅しを掛けてくれるということか

君は自由なんだ、桜子くん

再び笑顔を作って、歌晏さんは言う

鳥居家でまり子くんと自由気ままに暮らしたまえ好きなことを勉強をして、やりたい仕事に就きたまえ恋も君の自由にしていいんだ

桜子さんはうつむくが

君は本当のお母さんの分まで、自由に生きるべきだ

歌晏老人の言葉に、桜子さんはハッとなる

若くして不倫の子を産んで子供を奪われ、追放され

実家には勘当されて売春婦として死ななくてはならなかった、桜子さんの本当のお母さん

わたしや香月は、桜子くんに表立った援助はできないがどんなことでも協力は惜しまないよ困ったことがあったら、何でも相談したまえ

老人は優しい笑顔でそう言った

あら、お祖父様わたくしやみすずが、桜子さんを助けるのは構いませんわよねわたくしたちは、歌晏家や香月家の看板を背負ってはおりますがわたくしたち、桜子さんと義姉妹の誓いを立てておりますから

桃子姉ちゃんが、笑顔で言う

もちろん構わんよお前たちの個人的な友愛にまで、口は出さんよまた、他の人間にも口出しはさせない

歌晏老人は、約束してくれた

いいのよ、桜子は鳥居家に来て

ううんわたくしは、桜子に来て欲しいわたしが望んでいるんだから、来てくれないと困るわ

鳥居家で桜子は、わたくしと生活しながらこれから先の自分の未来のことをゆっくり考えればいいわわたくしもあなたも、まだ高校1年生なんだから学校に進路届を出すのだって、まだ1年は余裕があるもの

まり子が、優しく桜子さんに言う

桜子さんは、まり子に礼を言った

聡子様も典靖様をお連れになって、いつでもお遊びにいらして下さいませ鳥居家は、いつでも歓迎致しますわ

まり子が、狩野聡子さんに言う

桜子さんが、名家・神崎家に居る母や弟に会いに行くよりも