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あたしも娼婦でしたいえ、正式な引退表明はまだしておりませんからお客様たちは、まだあたしのことを娼婦だと思われているはずですですから、あたしの身体は汚れていますそのことは、あたし自身が一番よく知っています

この子はあたしたちの希望なんです馬鹿な子です脇の甘い子です誘惑に弱い子ですでも正直な子です真っ直ぐな子なんですあたしたちにとって、愛おしい可愛い子なんです

克子姉は、潤んだ瞳でオレを見る

この子は真っ直ぐに人を愛しますセックスの時も真っ直ぐに、あたしたちを見てくれますいつでも、今現在のあたしの心と身体を真っ直ぐそのままに受け入れてくれますどんな時も、不平や不満を言わずにありのままのあたしたちを悦んでくれますだから、この子とのセックスは幸せなんです他の男性のように女が、男の方の欲望を我慢して奉仕することがありませんから

あたしたちは、この子とこの子の家族のためなら何でもしますわあたしだってこの子のために、また娼婦にならなければならないような事態になったら、喜んで娼婦になります何でもします死ななければならないのなら、死にますだって今のあたしは、この子に愛されるために生きているんですから

克美姉の気合いが、歌晏老人を圧する

だからこの子の愛やセックスを、名家のお嬢様の精神ケアのためになんか使わせませんわこの子にはそういう役目のために、仕方なくセックスしなくてはいけないような体験は絶対にさせませんからっ

そのまま克子姉は、みすずを見る

今回は狩野桜子様の件は、ご事情が判りましたから、あたしやミナホお嬢様や渚も、受け入れました

ああ桜子さんの本当の母親が売春婦として死んでしまったということや

もう桜子さんが、死んでしまった母親に会えないということに

ミナホ姉さんや克子姉たちは、心を動かしたのだろう

ミナホ姉さんは誘拐されて娼婦に堕とされて監禁されている間に、母親を亡くしている母の顔を再び見ることはできなかった

でも、これから先みすずちゃんも、瑠璃子ちゃんも、まり子ちゃんでもつまらない理由で、この子を他の女の子とセックスさせようとしたら、あたしたちが許さないわお屋敷から叩き出して、2度とこの子に会わせないから、覚悟なさいねっ

克子姉の剣幕に、みすずは

慌てて、克子姉に頭を下げる

それからシゲちゃんもよっどうせ、ここの様子を監視カメラで観ているか録画しておいて、後で観るんでしょうけれどうちの子を手駒にするようなことをしたら、お尻を蹴飛ばしてやるんだからっシゲちゃんだって許さないからねっ

克子姉は、天井に向かって大声で叫ぶ

やっぱり、そうか監視システムは無いというのはフェイクで

ジッちゃんや歌晏さんだけが覗けるようになっているんだ

か、克子くんき、君は、香月に

天下の香月家当主を叱り飛ばす克子姉に歌晏老人は驚愕している

あのせっかくの機会だから、お教えいたしますけれど歌晏様は、あたしたち黒森家が名家・香月家に従属しているとお考えのようですがまあ、対外的にはその方が判りやすいから、そういう風にしていますけれど現実は違いますから

現実には、お寂しい香月シゲちゃんもこの子の恩情で、黒森家の家族に参加しているだけですからだから、この子シゲちゃんのことをジッちゃん、ジッちゃんて呼んでるのよ

それはこの小僧が将来的にみすずくんと結婚して、香月家の一員にんるからではないのかだから、香月はこいつにそう呼ばれることを許しているんじゃないのか

歌晏老人は、オレを見る

あなた香月家に入るのみすずさんの婿養子とかになる戸籍から香月家の子になる

歌晏老人は、驚いてオレを見る

だってみすずや瑠璃子や美子さんやジッちゃんは家族だから、大切ですけれどオレが香月家の人間になったら、香月家の分家の香月昴とか香月仁たちの面倒まで見なくちゃいけなくなるじゃないですかオレはあいつらと家族になりたくないですから

みすずたちの親戚としては付き合えるけれど

同じ家族として、生きていくのは嫌だ

みすずたちのためなら、身体も命も張れますけれど香月昴たちのために死ぬのは嫌ですから

ほらこの子は、こういう子なんです香月家の財産や権力には、全く興味が無いんです

克子姉は、歌晏老人に言う

頭が悪いんです野心を抱くほどの賢さが無いんですでも良い子なんですあたしたちにとっては、最高の男の子なんです

歌晏老人は、しばらく考えて

判った色々と誤解していたようだ謝罪する

小さな声で、そう答えた

しかし桜子くんはどうなるこれからも、突発的に売春の欲求が芽生えたらそれを誰が解消する

あの歌晏さんもジッちゃんも、桜子さんのことが心配なのは判りますけれど

二人とも、女の子のことを甘く見過ぎです桜子さんは、そんなに弱い人じゃありませんよ

うん、オレは肌を合わせたからよく知っている

歌晏さんたちに、そこまで心配されなくても桜子さんは、自分で自分のことを決められる人です

部屋の中の内線電話が鳴る

歌晏さんの警護役の山田太一さんが、電話に出る

判りました御前藤宮さんからです

さっき、桜子さん親娘と桃子姉ちゃんとまり子を別室に連れて行ったんだよな

何かあったんだろうか

藤宮くんが、どうしたんだ

歌晏老人は、山田太一さんに聞き返す

狩野桜子様が入室を求めていらっしゃるそうです

入室この部屋への

ということは、桜子さんは今この部屋の隣の警護役の待機室に居るのか

入っていただいて良いと思いますわ

克子姉が、歌晏老人に言う

麗華お姉様が、そろそろ頃合いだと思われたんでしょうから

歌晏老人は克子姉を睨んで尋ねる

ここは香月家の施設ですわ歌晏様やシゲちゃんが覗き見できるシステムを稼働なさっているのなら香月セキュリティ・サービスの警護人である麗華お姉様が、外から監視できないはずがないじゃありませんか

笑顔で克子姉は言う

いかがなさいますか御前

山田太一さんは、電話機を持ったまま歌晏老人に尋ねる

入室を許可する

と歌晏老人が言った瞬間

つまり、山田さんが改めて電話機でレイちゃんに許可のことを伝える前に

カシャッっとドアの電子ロックが解除される

ということは、隣の部屋にここの部屋の音声は丸聞こえになっているということか

太一

歌晏老人が、山田さんを見る

いえ、先ほどわたしが藤宮さんと待機していた時には何も聞こえませんでした

レイちゃんもプロだ同業者の山田さんが居る前では、ボロは出さない

ドアは、あたしが開けますわ

みすずが、そう言ってドアを開く