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桜子が売春婦の娘であることは狩野家の分家や家臣たちは全員知っている

戦って、勝って、あなた自身を認めさせるのよわたくしは負けてあげるつもりは無いけれど一緒に競い合いましょう桜子

桜子は、涙を溜めてまり子に言う

お母様このようなことになりましたでも、桜子が自分で決めたことです悔いはありません

育ての母の聡子さんに言う

ええ、桜子が決めたことなら反対はしないわ黒森様、まり子さん桜子をお願い致します

聡子さんは、オレたちにそう言う

歌晏桃子様も、香月みすず様、瑠璃子様、美子様もどうか、これからも桜子のことをよろしくお願い致します

大丈夫よわたくしたちが、桜子のことは守るわ

桃子姉ちゃんが、笑顔でそう約束した

お祖父様は10年先のお話をなされたけれどわたくしたちの残りの人生はもっともっと長いですもの50年後でも70年後でもわたくしたちは桜子の味方でいますわ

桜子の章は、これで終わりです

次話は、黒森家の祝勝パーティとなります

この物語は、毎日書き続け積み重ねることだけを目的にしています

とにかく続けること

毎日、先へ進むこと

コイケカズオ先生が作品とは結局、自分の慰めのために作るのだということをおっしゃっていますが

わたしにとってはツライ日常から逃れるために、1日のうちの3時間前後をこの作品に使っているだけです

だからストーリーのあるものなはずなのにちゃんと、その時その時のわたしの心象風景が出ます

というか、ストーリーすら変わります

後から読み返すと、その時、その時の自分の状況や精神状態が本当によく判ります

自分がどういう人間かということも

どんな作品も、人間性が透けて見えるというのは本当のことだと思います

作品中の設定や、あからさまなわたしの勘違いなどもそのまま残しておくべきなんだとわたしは考えています

その時、その時のわたしの記録として

これは商業作品ではありませんし文学ですらありませんから

というより、この作品を書き続けることでわたしは自分が作家にはなれないということを痛感しています

でも絶望していても先に進まないといけない

ラストシーンに向かって

わたくしの現実がどうであったとしても、作中の人物たちには関係無いのですから

昔、舞台の裏方の仕事をしている時に、とある先生に言われたのですが

全ての物語は、一度スタートしたら最後まで語られるべきなんだ

なぜなら、全ての物語は語り始められた瞬間から、人だけでなく天の神の眼にも晒されているから

ショウ・マスト・ゴー・オン

幕が下りるまでは、どんなに苦しくともショウは終わらない

父がついにわたしのことを認知できなくなりました

3日前までは、一緒に駅前でコーヒーを飲んで世間話などもしていたのに

今は家の中でトイレに行くだけでも介護が必要で

わたしの名前が判らない

そういう日だからこそ、わたしはこの章の最後に運命に反抗する桜子を書いたのだと思います

昨日までの予定では、もっと運命に流される子になるはずだったのに

1253.余韻 / また今度

それじゃあ、落ち込んでいるお祖父様を慰めてくるわまり子も来なさいご機嫌取りは得意でしょ

桃子姉ちゃんは、笑ってそう言う

セバスティアヌスもよクリスのフォローを頼むわ

ああ、山田梅子さんの兄の山田太一(ハンス・クリストファー・アンダーソン)さんはレイちゃんに、完敗してたもんなあ

ああ、慰めるんじゃないわよクリスには、傷口に塩を揉みこむ感じにしてあの人はなにくそってならないと努力しないタイプだからもっと伸びる人なのに、そこそこの才能と実力があるから自分から、今以上強くなろうとはしないのよねだから、今日藤宮さんにコテンパンにされて良かったと思うわ歌晏家の警護役の中では、クリスに対抗しようとする人なんていないから井の中の蛙だったのよ、あの人

桃子姉ちゃんは、山田太一さんをそんな風に評価している

おそらく山田家というのが、先祖代々、歌晏家を警護している一族なんだと思う

今の歌晏家は歌晏老人は当主のまま、支配下の会社なんかの経営は桃子姉ちゃんのお父さんである息子にやらせて、隠居みたいな生活をしているから

山田家の当主が、歌晏老人の息子の警護をしていて

跡取り息子の山田太一さんが、歌晏老人の警護担当者になっているのだと思う

そういう立場の人だから歌晏家の警護役たちは、山田太一さんに頭が上がらないのだろう

警護役の能力では香月家には、いえ、香月セキュリティ・サービスには敵いませんわ

山田梅子さんも、そう言う

セバスティアヌスも、余計なプライドを捨てて、香月セキュリティ・サービスでの合同練習に参加なさい

今は香月セキュリティ・サービスの施設を借りて、名家のお嬢様たちとその警護役たちの合同護身術練習会が定期的に行われている

あなたたちのお父様はずっと他家の警護役と交流することを嫌がっていたんでしょうけれどこれもあたしたちの代から改革していかないことの一つなんでしょうね

桃子姉ちゃんは、まり子を見て

今日はこのまま、お祖父様と帰宅するけれどまり子はどうするの今夜はわたくしの家に来ない桜子さんも一緒にどう

二人を自宅に誘う

残念ですけれど今夜は、黒森のお屋敷でイーディさんたちの祝勝パーティですから公の家族のわたくしが参加しないわけには参りませんわ桜子、あなたも、もちろん行くのよ家族の皆様にわたくしが紹介してあげるわ

まり子は、桜子に言う

はいよろしくお願いしますまり子

嬉しそうに、桜子は答えた

でも、その前に桜子さんは、お医者さんの検診があるわ麗華お姉さんが、香月セキュリティ・サービスの口の固い女医さんに来て貰っているはずよ

いつもの処女喪失後の検診か

あたしは美里ちゃんを、御名穂お嬢様のところへ送ってから帰るわ

美里は駅前ホテルの地下にある黒い森の新しい娼館に帰らないといけないんだ

美里さんごめんなさいわたくし

桜子が、改めて美里に謝る

本当に娼婦にならないといけない美里のような運命の子がたくさんいるのに一時の感情から、自暴自棄で売春体験をしようとしたことを謝っているんだ

いいえ人は、それぞれ違う運命を生きているのですからわたくしはわたくし、桜子様は桜子様で、精一杯頑張っていけばいいのだと思います

わたくしもどうしようもなく、辛く苦しくなっしまった時には、黒森様にお縋りすればいいのだと判っていますからだから平気です

5年間頑張れば鞍馬家を再興し、ありすともまた暮らせます黒森様の赤ちゃんを産んで、わたくしも皆様の一員にしていただきますそういう明るい未来が来ることが判っているのですから今は、どんなことにも堪えられます