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頑張って下さいわたくしも頑張りますあの時々、美里さんにお電話しても構いませんか

桜子は、美里に尋ねた

わたくしたち娼婦の外部との通話は制限されていますから黒森御名穂様のご許可がいただければ

大丈夫よあたしが許可をもらってあげるわただし傍受される危険性のあるアプリは使わせられないわよ

克子姉が二人に言った

恐る恐るずっとすみに控えていた不知火シエさんが、オレたちに声を掛ける

わ、わたくしはこれからどうしたらいいのでしょうか

桜子は狩野家を離れて、まり子の鳥居家にお預けになる

となると桜子の警護役だった不知火さんは

うちは、別に不知火さんも来たって全然平気よ

鳥居家の財力なら桜子のついでに不知火さんも受け入れることは可能だ

いえそういうことにはいかないわ

桜子は、真顔で言う

シエあなたの人生は、あなた自身で決めなさい

狩野家は存続させていただけることになったのですから狩野家に戻っても、あなたの居場所はあるはずです微禄でも、不知火家はこれからも狩野家に従って下さるでしょうから

不知火家の父親の元に帰ることも、不知火シエさんにはできる

わたくしと一緒に神崎家に来てくれてもいいのよ典靖にも警護役を付けないといけなくなるでしょうし昔から気心の知れているあなたなら、心強いわ

桜子の育ての母狩野聡子さんも、そう言ってくれた

シエさんには、聡子さん親子と神崎家へ行くという選択もある

不知火さんなら、他の名家の警護役になるという手もあるわよ元・狩野家の警護役ならうちの娘にぜひという人は多いと思うの

いっそのこと、香月セキュリティ・サービスに入れていただいたら藤宮さんにお願いしてああ、今は公がオーナーなんだから、公が推薦したら絶対に入社できるわよ

まり子は、そんなことを言う

わたくしはこれからも、ずっと桜子様のお側に居たいのです

不知火さんは、そう言った

しかし、現在、黒森家の警護役は足りております

しかも不知火さんのような名家のお嬢様の警護役にのみ特化したタイプの警護役は黒森家では、余り役に立ちません

ああ気が使えて、スバ抜けて頭が良くて、底抜けに強い美智とイーディが居て

戦闘力だけに全てを注いでいるミタマとキヌカの安城姉妹が居て

策略も使えて、小技の効くハイジもいる

巫女の力が使えるヨミも今は警護役を目指しているし

今は警護役から格闘家に軸足を移したとはいえ何かあったら頼りになるマルゴさんも居る

さらに、本当の危機にはキョーコさんが助けに来てくれるだろう

警護役として余り特色のない不知火さんは、確かにうちには合わないかもしれない

どういたしましょうか旦那様

不知火さんは警護役以外に何ができるんだ

ズバリと聞く

わ、わたくしはう、生まれてからずっと、桜子様の警護役でございましたから

過去のことはどうでもいいんだよ今の不知火さんは、警護役以外に何ができるのかを聞いているんだ

し、しかし、わたくしは

シエはお裁縫が上手ですわ

桜子が言う

わたくしのハンカチを縫ってくれましたしワンピースを作ってくれたこともあります

それってもしかして今年の夏の狩野家の本家の集まりの時に、桜子が来てた服

ああ、やっぱりあれは素敵だったわあんなのが作れるのなら、凄く才能があるわよ

まり子が、不知火シエさんに言う

それは、あのわたくしの裁縫は、趣味の範囲のことでございますから

いいえ、立派な才能ですわわたくしが推薦致します黒森様、シエはお裁縫ができますわっ

じゃあ、裁縫係っていうことで不知火さんにも、うちに来てもらおうか

いや、普段は桜子と一緒でいいんだけれど桜子はまり子と一緒に行動するんだから、どうせ週の半分は黒森の屋敷に泊まるんだろ

あったり前でしょ公とセックスする機会を減らしたくないもの桜子にも早く、公と一緒にイク感覚を知って欲しいし

なら、不知火さんは名目上は、桜子の警護役のまま、うちに来た時は裁縫係をやってて貰うよ

お裁縫ができる子は少ないから助かるわ

ヨミたちにも教えて下さい

ヨミも笑顔で、そう言った

あ、あのわ、わたくしは、黒森様に、せ、性的なご奉仕をする下僕とかでなくてよろしいのでしょうか

恐る恐る不知火さんはオレに聞く

いや、そういうのはえっと、ゴメン、今日は不知火さんのことも何とかしてあげたいって、ずっと考えてたんだけれど

でも、ほら今日はずっと桜子がどんな女の子なのかを理解するのに精一杯だったから

桜子の美しい顔を見る

いや、こんな短い時間で理解できるわけがないしていうか、ずっと一緒にいるみすずや瑠璃子たちのことだって、オレは本当に理解しているのかどうか判らないよ時々、もしかしたら、この子はこういう子なのかもしれないって閃くことがあるけれど人は生き物だから今はそうでも、またどんどん変わっていくものだから理解しきることは、無理なんだ

だから、オレは女の子のことを判ったと勘違いしたくないし、判っているフリもしたくないでもいつも理解したいと思っているし、理解しようとする努力は続けないといけないと思うんだ

オレはまだまだ判っていない

それが真実だ

今日はとにかく桜子のことを理解するのが先決だったからそれで、何かが判ったとは癒えないけれどとにかく桜子の心の奥を、ほんの少しだけでも覗くことはできたと思う今日は、それが精一杯だオレみたいな頭の悪い男にはさ

そんなことありませんわ

桜子は、オレに言う

オレは不知火さんのことは全然、まだ理解できていない理解するだけの時間が圧倒的に足りてない桜子のことを大切に思ってくれている優しい人だってことと、顔が綺麗でプロポーションが良いことは判っているけれどそれ以上のことは、まだ判らないから

わ、わたくしは狩野桜子様の警護役ですそれ以上でも、それ以下でもありません

不知火さんは、そう言うが

違うよ不知火さんは桜子の警護役である前に、不知火シエという一人の女の子なんだ

ただの警護役なんていない警護役って言ったって、みんな性格も違うし、得意にしている領分も違う、趣味も嗜好も異なっているんだから

いえご主人様の警護役は、全てご主人様が大好きでございますつまり、男性に対する嗜好は全員、同じです

それは違うわ、美智旦那様の方が、あたしたちの性的嗜好に合わせて下さっているのよだから色んな嗜好を持つ女の子たちが、みんな旦那様の女でいられるのよ

みすずが、美智の意見を否定する