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ミナホ姉さんからも、何も聞かされてはいない

突然のことでご迷惑だとは思いますがわたくしもくるみも、みすず様や他のご愛妾の皆様を軽んじるようなことは決して致しません

もちろん、黒森様には生涯、お仕え致します決して口答えは決して致しませんどんなことでも致します忠節を尽くします

ただ2つだけ、お願いがございます

お願いがございます

毎日、数時間だけわたくしたちに槍のお稽古をさせて下さいませ

槍に触れさせて下さいませ

それとわたくしとくるみが産む、黒森様のお子に栗宮流槍術を伝授することをお許し下さいませ

お許し下さいませ

わたくしは栗宮流槍術を、わたくしの代で断絶させるわけにはいかないのでございます

どうかよろしくお願い致します

栗宮さんと御厨さんは息を合わせて、オレに言う

つまりお家の槍を伝えるために、栗宮さんたちは旦那様にお仕えするというの

ありていに申し上げればその通りでございます

栗宮さんは、笑顔のまま答える

しかし、わたくしもくるみも昨日、黒森様とお人柄を拝見し、この方ならばと感じました

はい、黒森様でしたらわたくしも、全てをお捧げできると思います

やっぱり一緒に、イーディの試合を観戦することになったのは

あれはお見合いだったのか

この方ならわたくしたちを受け入れて下さると感じましたし、この方の下ならば栗宮流槍術を後世に伝えることができるはずだと

わたくしも感じました

つまり、栗宮さんたちは槍の技の伝承が、何よりも大切なんだ

他の名家に嫁に行ったら栗宮流の槍の稽古をさせてもらえないし

そこの家で子供を産んでも、槍の技を伝えることは禁じられるかもしれないから

この屋敷に来て、心ゆくまで槍を極める代わりにオレの側室として、家事でも何でも引き受けるということなんだな

栗宮さんと御厨さんはわたくしたちの学校の中でも、とりわけ変わっていらっしゃいますものね

横から瑠璃子が言う

確かにお兄様でないと他の男性では、受けとめきれないかもしれません

でも瑠璃子

みすずが、瑠璃子に振り向く

栗宮家は香月家や歌晏家や狩野家ほどでは無いけれど、名家の中では家格の高い家よ可憐の水島家や、ありすさんの鞍馬家よりもずっと

だから、格上の香月家の命令で可憐やありすが、オレたちのところに居ることが許されている

そういう名家のルールはもう、いいではありませんかみすずお姉様

瑠璃子は、笑ってそう言う

大切なのは、栗宮さんたちのお気持ちとお兄様が、お受け入れになるかどうかだけですわ

はい、ですから本日は黒森様に、わたくしたちの能力を知っていただきたいと思い、馳せ参じましたお望みでしたら夜伽の方もわたくしとくるみの身体も、お試し下さって構いませんわ

はいいかようにもして下さいませ

うんとそれは

とにかく今日は、マルゴさんとイーディの祝勝会だからそういうことは全部、後にしてくれもちろん、栗宮さんと御厨さんの料理は、じっくり味わって食べるけど

はい、お召し上がり下さいませ

お召し上がり下さいませ

栗宮さんと御厨さんは、ニッコリとオレに微笑む

お祖父様にお電話して参ります

みすずが、キッとなってそう言うが

いや、ダメだよジッちゃんは何か、どっかの国の偉い人と会っている最中らしいからさっき、そう言ってた

さっきの電話で、ジッちゃんが栗宮さんたちのことをオレに話さなかったということは

これぐらいのことは、自分たちで解決しろっていうことだろう

栗宮さんを受け入れるか、拒絶するかはオレ次第だってことだ

あれれー、どうしたのーミィちゃん、余裕が無いねー

と寧が、食堂に入ってくる

何何々やっとメグちゃんが腹を括ったと思ったら、今度はミィちゃん

みすずに向かってニィと微笑む

あたしはそういうことではありませんわ

自分の地位を脅かしそうな人が入ってきそうになってから、大慌てになるっていうのはみっともないと思うよ逆を言うと、今までミィちゃんがいかに他の子たちをナメてたかってことでしょヨッちゃんの表の妻の座は、自分のものだってタカをくくってたわけだからさ

香月家の娘である自分はヨッちゃんの一番隣の位置は、絶対にキープできるはずだとか思ってなかった

そういう寧お姉様は、どうなんですか

みすずはムッとして、寧に言い返す

寧お姉様こそ自分が旦那様に一番近いと考えていらっしゃるのではありませんか

おーおー、ミィちゃんも言うようになったねえ瑞兆、瑞兆言いたいことを言い合えない姉妹より、こうやってケンカを恐れずに何でも話せる方が全然良いもんねっ

あたしはミィちゃんみたいに欲深じゃないもんあたしは、ヨッちゃんが幸せなら、それでいいからさ別に、自分がヨッちゃんの一番になりたいとかは考えないよ

あたしはヨッちゃんだけ、オンリー・ワンだものヨッちゃんがこの世界に生きているから、あたしもこの世界で生きていたいと思うしヨッちゃんが信者ったら、あたしも死んじゃうしあたしは家族が大好きだしお姉ちゃんたちも、妹たちもみんな大事だけれどでも、この家族だって、真ん中にヨッちゃんが居るから、何とかまとまっている家族でしょ

それは判りますけれど

あたしは、ヨッちゃんを愛していてるよ宇宙で一番だからヨッちゃんにとって、あたしが何番目でもいいんだよ何番目だろうが、あたしはいつも全力でヨッちゃんのことを愛してるもん好き好き、ヨッちゃん

寧はそう言ってオレを抱き締め

唇にチュッとキスをする

今日も、頑張ったね偉いよ、ヨッちゃん

寧の柔らかくて温かな身体に抱き締められているとオレの身体から、スーッと力が抜けていく

大変だったんだよねこんなに身体が緊張しちゃってずっと、身体に力が入ったままだったもんね

桜子のこととか歌晏老人とか

今日も、メチャクチャ緊張することばかりだった

どんな展開になっても、オレは桜子が不幸にならないように必死で考えて行動しないといけなかったんだから

自暴自棄な処女のお嬢様を前にして失敗は許されなかった

ミナホ姉さんと、ジッちゃんと、歌晏老人が次から次へと、色んな人を送り込んで来たから

もうちょっとシンプルにことが進めば良かったんだけどさいつものように、色んな人たちの思惑が絡んだからさなかなかツラかったよ

オレが寧に言ったツラかったという言葉にみすずは、驚く

うん、ヨッちゃんお帰りもう、ここはヨッちゃんの家の中だからね名家の人たちと会うときみたいに気張らなくていいんだよ

自分の大きな胸を、オレの頬に押し付けて寧は言う