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♪オレの果てしない憧れっさー♪

♪相撲のはなは、タカノハナ♪

何の歌ですそれ

ええー、お前も知らないのかよぉぉぉぉっ

誰か寧を連れて来てくれ

こういうオタク話はヤッちゃんでないと、判らない

ああみすずと愛が、呆然を通り越してポカーンとしている

はぁぁ、こういうことばっかりやっているから遙花に嫌われちまってるんだよなぁ、オレ

工藤父は大きく溜息を吐く

ええとこの台所からでも、食堂の様子をモニターすることができる

オレは工藤遙花たちのテーブルの映像と音声を拡大した

でも、ホント親の影響って大きいわね

そうやねうちなんて、空手を始めた時は、親に無理矢理道場に連れて行かれたから何で、よその子は遊んでいるのに、うちだけ練習せなあかんのか理解できなかったですもの

ポロン選手がそう言う

ホントに我が儘な人で、うちや母が言う通りにしないとすぐに不機嫌になる人でしたから

ふーん、空手のお稽古を続けているうちにだんだん好きになったってこと

フランシーが興味津々で尋ねる

そうやのうて空手の稽古なら、幾らでも父のことを蹴ったり叩いたりできるってことに気付いたんですわだから後は1日でも早く強くなって、父を追い越すことしか考えなかったですわ

え、もしかして自分の親父をブチのめしたのか

スナッチが、ポロン選手に聞く

そんな父なんて、小学校の5年生でブッ倒しましたわうち才能有りますから

ニヤッとポロンさんは微笑む

父親を越えないとプロにはなれないと、うちは考えています

あー、あたしも生きている時に、一発ブン殴っておけば良かったなあ

モンキー・ミミさんが言う

死んじゃったら、全部チャラになっちゃうわけじゃないもんね恨みも辛い思い出もお墓殴っても、手が痛いだけだもんね

そして工藤遙花に

ホント親なんて、ある日突然死んじゃったりもするもんなんだから生きているうちに返せるものは、何でも返しておきなさいよ

はいやっぱり、顔面に正拳をブチ込むしかないですよね

ああモンキーさんたちは、お酒が入っているから

工藤遙花に、余計なことを言う

オレ、このまま帰った方がいいよな

工藤父は、モニター画面を見上げてポツリと言う

愛が工藤父を見て、言う

せっかく娘さんの優勝をお祝いしに来たんですから会ってあげて

いやだけどよー

あんなこと言ってるけれどホントは嬉しいと思うから

愛が一生懸命、工藤父を説得しようとする

愛は母親が、夫と結婚する前に別の男と関係を持ったことで産まれた子だから

本当の父親を知らない

愛ならお父さんがお祝いに来てくれたらとっても嬉しいよ

うちの高校の1年生の中でトップの美少女と呼ばれている愛が

潤んだ瞳で、工藤父にそんなことを言うから

あたしも考えすぎなくていいと思いますわせっかくいらしたんですから

うん顔を出すだけでも良いと思いますよお祝いに来たってことだけでも伝わればそこから、親娘関係が改善することもあると思いますし

工藤父が昨日の試合にも応援に来ていたことは

工藤遙花は知らない

そ、そうだなこうなりゃ当たって砕けろだ

いや別に当たったり、砕けたりすることはないと思うけれど

うっし行って来る

工藤父は、両手でパシーンッと自分の顔を叩いて気合いを入れて

台所から、食堂へ飛び出す

オレたちも、台所から顔を出して工藤父の様子を見る

1人地獄車

ふわっとジャンプして、走り込み前転でくるくるくるんと、食堂の床を転がって

トーッ

シュバッと立ち上がって、ポーズを取る

モンキー・ミミさんが呟く

楽しい歓談の中に突然乱入した、40過ぎのオッサンの姿に

食堂全体が、凍り付く

細すぎる黒スーツにカラーシャツのオッサンはどう見ても、異様だ

父上、いらしていたのですか

食堂の奥の壁際に居た美智がいつもの無表情で、言った

一応、確認しておくけれどあの子、あんたの妹だよね

モンキー・ミミさんが、工藤遙花に尋ねる

ということは、もしかすると

フランシーたちの視線が、工藤父に集まる

そうよ、あたしの父よ

工藤遙花の顔が怒りと恥ずかしさで、真っ赤になっていく

しかし父は

ヘーイ・ボーイエキゾチック・ボンバーワーオエントリーナンバー1番、工藤優作娘に捧げるバラードキャプテン・ツカサの替え歌で

いつものヘロヘロした笑顔でそう言うと

あ、ワン、ツー、スリー、フォーズンズンチャチャ、ズンズン、チャッチャ

う歌い出した

♪チョット、ありのままぁお馬が通る♪

♪ドラエモンだゾぉぉマツナカ騒ぐっ♪

♪チョーさん、ナカモト♪タカギにシムラぁ♪

♪アイツの噂でカトチャも騒ぐぅ♪

♪それにつけても、おやつはカァァル♪

♪ポール・マキぃにぃぃシラヌイ・マイさぁぁ♪

♪ダッシュ、ダッシュ、ダンダンダダンッ♪

♪ノック、アーンド、ダウンっ♪

♪今だキメるぞ、イナズマ落としィィッ

♪その時、オレがスーパー、スーパー、スーパー、スーパーダイヤモンドぉぉぉ

♪ダイダイダイダイ、ダイヤマン

♪ばくはつっ♪ばくはつっ♪

♪化学編隊ダァァイヤマンッッッ♪

オーレッ東京大好きっ

何か途中で歌が変わったような気がする

な、何しに来たのよっ

立ち上がって、工藤父の方に突進する工藤遙花

ホントにあんたは、いつもいつもいつも

真っ赤な顔で父に殴り掛かるが

はぁぁハラホレヒレハレっ

工藤流古武術の見切りで工藤父は、ヘロヘロと娘の攻撃を避けていく

くぅぅ一発ぐらい、殴らせなさいよっ

工藤遙花は、そう叫ぶが

悪リィなオレも、まだ現役のプロだからよお前に殴られるわけにはいかないんだよ

工藤父は、軽業のようにおバカなポーズを取りながら、娘の拳と蹴りを躱していく

こっのぉぉ

工藤遙花は攻撃のスピードを速める

おっ、ギアが上がったな正拳、裏拳、回し蹴り、スキが無いと思うよっだけどっ、オイラ負けないよっ

そうやって、あんたはいつもふざけてっ

工藤遙花は怒りを燃やすが父親への攻撃は、全く届かない

ふんふんふふんふんふんふふん遙花は、まだまだだなぁ

楽しそうに、工藤父は微笑む

ちくしょう、このぉぉ

当ったらないぜー、お尻ペンペンっ

ああ、2人が料理の並んでいるテーブルの方に少しずつ近付いてしまっている

このままじゃ危ないな

工藤父は平気だろうけれど工藤遙花の方が、大分、足がふらついてきているから

そこまででございますっ

美智がシュバッと父と姉の間に入り込み、両者の急所に拳を当てる