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昔、日本にジャンボっていう名前で活躍したスポーツ選手がいたノネ

相変わらず来日してまだ半年しか経っていないイーディの方が、オレより日本のことに詳しい

超天才児なのだからその辺のことは、もう諦めているけれど

ああ、その人みたいになれってことなんだ

ソウイウことネ素晴らしいプロゴルファーだったらしいネ

しかし、何でゴルフの人みたいになろうとしてレスリングを始めるんだ

というよりゴルフってメダルが狙えるのか

お父さんがそういう人でも晴子は、メチャクチャ才能がある子だから中学ではアマレスで大活躍だったのよそれでスポーツ推薦で、レスリングの名門校に進学したんだけれどね

晴子さんの師匠ルドルフ聖子さんの言葉に、ライン晴子さんはうつむく

晴子は才能が有りすぎたのよ入学して1月も経たないうちに、そこのレスリング部の顧問の先生を病院送りにしちゃって

え何か、やられたんで仕返ししたのかい

ミミさんが、晴子さんに尋ねる

いえごく普通に、練習相手をしていただいたんですけれど

晴子さん

中学の時と違って高校だし、顧問の先生は男性だから力をセーブせずに、思いっきりやっちゃっても大丈夫だと思ったんです

そしたら病院送りになっちゃったんだ

ミミさんが、呆れた口振りでそう言った

はい腰の骨が折れてしまって、レスリングのコーチとして再起不能な身体に

判る

突然女子プロレスラーのグレース・マリンカさんが口を開く

あたしも経験がある

それで、晴子は部に居辛くなっちゃったのよ顧問の先生は、それまでリスリング部の指導に実績があった人で部のセンパイたちにも慕われていたみたいなのよね

そういう先生を入学して来たばかりの1年生が再起不能にしてしまったわけだから

それでまあ、レスリング部を辞めたらスポーツ推薦で入学したんだから、学校も辞めることになっちゃったらしいのよね晴子の場合は

ルドルフさんは、そう言って少し落ち込んでいる愛弟子の肩を軽く抱いた

でも、それだとバカ親父がうるさかったんじゃないの

もちろんよレスリングを辞めてしまったら、オリンピックに出場して金メダルを取って、プロに転向する計画通りにはならないわけだから家の中で暴れて、相当、晴子に酷いことを言ったらしいわよだから

ルドルフさんは微笑む

わたしが拾ってあげることにしたのよ晴子の中学の時のレスリングのコーチが、わたしの知り合いでこういう子がいるから、預かってみないかって声を掛けられたのよそれで晴子のお父さん以外の家族お母さんとか親戚の人たちから許可を貰って家から連れ出して、あたしのジムに住まわせているのよこのまま父親と一緒にいるとロクなことにはならないだろうから

はぁぁ、この子も父親で苦労しているんだねえ

ミミさんが、優しくライン晴子さんに微笑む

結局、晴子は規格外なのよ普通のコーチとかでは、この子の器の大きさが判らないし、才能を伸ばしてあげられないって感じたのほら、クラブ活動とかの指導は基本的に普通の子に教えるためのシステムになっているでしょでも、晴子は心も身体も、普通じゃない特別な子だから

ルドルフさんは、ライン晴子さんの才能を本当に高く評価している

その点わたしは、創作マーシャルアーツの格闘家だから何でも自由に、晴子のことを思いっきり伸び伸びと鍛えてあげられると思うのよねいつも練習の時には、晴子にガチで掛かってこいって言ってあるし

ルドルフ聖子さんならライン晴子さんが力をセーブせずに、思いっきり戦うことができる

やっぱり普段から全力を出して練習しないとねスッキリしないじゃないそういうのはさっ

聖子さんいつも、ありがとうございます

ライン晴子さんは師匠に頭を下げる

いいのよそれに今回のことで、イーディちゃんやあなたたちとも知り合えたし今、ここに居るメンバーなら、晴子が全力を出しても楽しく練習できるでしょ

アタシはWELCOMEネ

あたしも、思いっきり戦える相手ができて嬉しい

グレース・マリンカさんも、晴子さんにそう言った

今まで居たところは本当につまらなかったから

ちょっと、あんた今まで居たところって

グレースさんの発言に、ミミさんが突っ込む

グレースちゃんあんたもしかして、ダイナミック・プロレスリングを退社して来たのと違う

ポロンさんが慌てて、尋ねる

そう言えばずっと不思議だったのよあそこの会社がよくグレースちゃんに格闘技大会への出場を許したなって

そうよねあそこは元プロレスラーのオッサンたちが女子選手を集めて作ったプロレス団体でとにかく社長がシブチンで、お金にガメつくて、女子選手の待遇が悪いって聞いてるわよ

ミミさんが言う

しかも、プロレスは全国を回って興行しているわけだからグレースちゃん1人だけツアーから抜けだして、東京で団体とは関係の無い格闘技大会に個人として出るなんていうのは許可するはずがないって思ってたのよ

許可はもらってない

グレースさんは言う

絶対に出場は許さないって言われた

えグレースちゃん誰に、そう言われたの

ミミさんが穏やかに尋ねる

もちろん社長に

ええっと、今のダイナミック・プロレスリングの社長って海賊大王ゾリー・ガスパーだったと思うんやけど

ポロンさんが言う

そう強そうなリングネームを名乗ったけれど本当は、弱い本名はタナカ・ミツルだし昔は、社長は強かったって言う人もいたけれど昔も弱かったと思うとにかく弱かった話にならない

弱かった

よその格闘技大会への出場は、許可できないって言うからあたし

ぐ、グレースさん

だから社長を倒して勝手に出場してみた

社長を倒した

この子と同じ軽く捻って、病院送りにしてみた

とグレースさんは、ライン晴子さんを見る

えあんた、さっきあたしも経験があるって発言してたけれど

あれは、ずっと過去のことじゃないの

ミミさんとポロンさんが尋ねる

昨日のこと

昨日

昨日、社長を倒してついでに専務の悪魔烏賊・死神ヒロシと経理の煉獄大使ケンジと統括本部長の狼男アフリカン・ゲル大佐を倒した団体のコーチの宇宙大将軍コウケイ2世も倒したそれで合宿所から出て、そのまま電車に乗って試合会場に行った

グレースさんはそう言う

武士の情けで救急車だけは電話しておいた今頃は、全員病院で並んで寝ていると思う

元レスラーのオッサンたちを全員、病院送りにしてきたんだ

それマズいでしょダイナミック・プロレスリングって裏にヤクザが付いているって聞いてるよ

ミミさんが、そう言うが

そんなことはどうでもいいとにかくあそこでの生活はもつまらなかったあたしはダイナミック・プロレスリングにはもう戻らない