オレに、そう言う
いえ、それはOKですオレが、工藤さんにお願いした話ですから
オレは、香月セキュリティ・サービスのオーナーとして答えた
良い機会だから、教えといてやるけれどよ人間てものは金での謝礼には意外と、あんまり有り難みを感じてくれねーもんだよ
謝礼金には有り難みが無い
そりゃ臨時収入が入るのは、誰だって嬉しいだろうけどさ謝礼金を支払うと、人間関係が変になっちまうそれきり、気まずくなって関係が断ち切れてしまうヤツもいるだろうし逆に、金だけが目当てになって、余計なことをやり出すやつもいるこの間のことを他言して欲しくなかったら、また金を寄越せとかな金が絡むと本当にメンド臭いことになるんだわ
だから、オレは他人との貸し借りは、なるべく金以外のもので解決したいって思っているんだそれはオレの労力かもしれないし相手の相談に乗ってやることかもしれない今回なんて、香月セキュリティ・サービスと繋がりを持てるかもしれないという可能性を提示してやるだけでもカワバタには、価値があるんだオレ個人よりも、香月セキュリティ・サービスの方がずーっと信用があるからな
ということでオレはこれから先方へ出向いて、全ての問題を解決してくるぜ今夜のうちにな
工藤父は、自信たっぶりにそう言った
ほら、グレースちゃんここはお礼を言うところでしょ
グレース・マリンカさんは、恥ずかしそうにそう言った
工藤さんて君が思っている以上に、能力の高い人だからね
マルゴさんが、工藤遙花に言う
父上は、普段はオチャラケていますが芯の強い方ですから
美智が姉に2人の父親のことをそう評した
褒めんなよ、美智オレの方が照れちまうからよ
ほんじゃあなっ
工藤父は、笑顔で食堂から出て行く
頼みます、工藤さん
オレの声に工藤父は、軽く片手を上げて退場して行った
小声でぽつりと工藤遙花が呟く
ねえねえ茉莉花ちゃん、何か弾いてくれない
場の空気を変えようと、寧が音楽科に通っている茉莉花に頼む
ええかしこまりました
茉莉花は笑顔でそう言うと食堂の片隅に置かれているエレクトーンに向かう
明るい曲にしてよっ
寧のリクエストに
では、ショパンの子犬のワルツを
茉莉花は、軽やかにクラッシックのピアノ曲を弾き始める
それからしばらく余興の時間が続いた
瑠璃子と美子さんが、日舞を踊ったり
う、歌いますの
アニエスと、ルナと、コヨミちゃんと、可憐小学6年生の4人が、茉莉花のピアノに合わせて、合唱したりした
なぜ、マルゴさんやイーディたちの優勝をお祝いする歌が森の熊さんなのかはよく判らないが
きっとアニエスの趣味なんだろうなあ
でも、小学生の女の子たちの歌はとにかく可愛らしい
アニエスは、まだ緊張が取れていないみたいだけれどそれでも、家族じゃない人たちと同じ部屋に居ることに、大分慣れて来たみたいだった
小鳥ちゃんたち可愛かったわよ
オカマ・タレントのフランシーが、立ち上がって拍手してくれた
その後は、また寧が司会をしてゲーム大会をやったり
はーい、このケーキは愛ちゃんの自信作でーすっ
愛の特製ケーキをみんなで食べたりした
そうしてパーティはお開きの時間となる
今日は楽しかったよ雪乃の家族の皆さんに会えて良かった
お笑い芸人のスナッチが微笑む
雪乃ちゃんも、あたしと漫才でもすれば良かったわね
フランシーは、そう言うが
嫌よ、あたしは
あたしたちも楽しかったよ
モンキー・ミミさんが、そう言った
うちら本当は、敗者なんですから、祝勝パーティにお邪魔するのは変なんやけれど
ポロンさんが、そう言う
まいいじゃないこれから、一緒にアメリカ遠征に行くことになるんだし
ルドルフ聖子さんも笑顔で、そんなことを言う
あのさライン晴子さん
マルゴさんが、晴子さんに声を掛ける
君高校は中退したって言ってたけれど、今からでも他の高校に編入してみない
驚く晴子さん
いや、この家のすぐ裏にさあたしが去年、卒業した高校があってさ寧やイーディや、良信くんや恵美ちゃん、愛ちゃんたちも通っているんだけれど
あたしも通っているわよ
向こうのテーブルから、可奈センパイが笑顔で手を振る
そこの高校ならちょっとしたコネがあるから、晴子さんのことも編入させてあげられると思うんだよね
ちなみにわたくしも、来週から通わせていただきます
わたくしも、お世話になりますわ
他にも、今はここに居ないけれどミナホ姉さんの新しい娼館の新人娼婦候補生たちも、オレの高校に通うことが決まっている
なでしこ科という、特別なクラスを創設して
だから、晴子さんのことも追加できると思うんだどう高校通ってみたいと思わないイーディと一緒だから、練習や試合優先で授業を欠席することとか、アメリカ行きのことも学校の方に柔軟に受け入れてもらえるように働きかけれるし
ライン晴子さんは、困惑の表情でうつむく
せっかくのチャンスなんだからわたしは、通った方が良いと思うわ
晴子さんの師匠のルドルフ聖子さんが言う
晴子も高校ぐらいは、卒業しておいた方が良いわよイーディさんたちが一緒なら大丈夫でしょ
晴子さんは前の高校は、レスリング部の顧問を再起不能にしてしまったことで居づらくなって辞めさせるを得なくなったわけだから
改めて、オレたちの高校にな編入したって問題は無い
マルゴさん、その話進めてくれる
ライン晴子さんが返事をする前にルドルフ聖子さんは、そう言った
じゃあ、学校の理事から理事長に話してもらうよ
ええ、任せておいて
マルゴさんの言葉に克子姉が、微笑む
オレの学校の理事長は、半年前は克子姉がやっていたけれど
今は、ミナホ姉さんが理事長だから克子姉は、理事の1人になっている
それでグレース・マリンカさんは、今夜はここにお泊まりなんよね
ポロンさんが、グレースさんを見て言う
あたし尾上ジュンそれが、本名
不意にグレースさんは、そんなことを言い出す
グレース・マリンカは、リングネームで社長が付けた名前もし社長が、これから先は、名乗らせないっていうのならリングネームを変えないと
ああ、さっき工藤父がヤクザの親分との会話で、そんなことを話していた
じゃあ、あんたこれからは、リングネームを変えるのそれとも本名で闘う
モンキー・ミミさんがグレースさんこと、尾上ジュンさんに尋ねる
それはどうしよう
尾上さんは決めかねているようだった
じゃあ、あたしが新しいリングネームを付けてあげるわ