正確には、香月家と歌晏家と狩野家には絶対に失礼なことをしてはいけないって
まり子は、チラッと桜子を見る
狩野家は今はアレだけど、でも公の場で狩野家をあなどるようなことをしたら、香月家と歌晏家からお叱りを受けることになるから
名家の中でも、特に家格が高い3家
今は狩野家は没落寸前だけれど香月家と歌晏家の方は安泰だから
香月家と歌晏家がサポートすることで、狩野家は家格を保ち続けている
そうですよねぇ歌晏様と香月様は、本当に怖いですよねえ
エリカもそう言う
長い歴史を持つ名家の中でも、群を抜いて古いお家だし明治維新も戦後の混乱も乗り越えて、今なお名家の中心にそびえ立っている2家ですから
名家を指導する立場の家なんだよな
畏れおおいのよね香月様と歌晏様は
まり子の言葉に名家・鞍馬家のありすと、名家・水島家の可憐もうなずく
2人ともジッちゃんの命令で、オレたちと暮らすことになった
名家と言えども、家格の低い家は名家・香月家の当主には逆らえない
畏れおおいって言う割には、まり子は歌晏桃子姉ちゃんの妹分をやっていたじゃないか
それはだって、桃子お姉様は超然となさっていらっしゃるから一緒に居て楽しいものそれに、みんな恐れ入ってしまって、桃子お姉様の近くには行かないでしょだったら、わたくしがお身内になってしまうのはアリなんじゃないかなって思ったのよ
ああ、香月家のガーデンパーティで、最初に桃子姉ちゃんが登場した時のことを思い出したぞ
確かに、桃子姉ちゃんは独自の華やかすぎるオーラを発していて、他の名家のお嬢様たちを圧倒していた
でも桃子姉ちゃん自身が、ああいう空気を楽しんでいたから嫌味にはならない
本当に華やかで面白い人だと感じた
歌晏桃子様は、名家のお嬢様の女王陛下になられることを開き直っていらっしゃるというか楽しんでいらっしゃいますものね
いえ、本当はお寂しいのよ女王様でも、臣下が山田梅子さんしかいない王国の領主だからでも、桃子お姉様は産まれてからずっと、ああいう生活を続けていらっしゃるから、ご自分が寂しいということにすら気付かれていないのよ
だからわたくしのことも、簡単に妹にして下さったんだと思うわ本当はもっと、安心して心を開くことのできる身内が必要なのよ
女王陛下のことを、他の子たちは遠くから眺めているだけなんだろう
畏れ多いから近寄って、友達になることは許されないと感じている
わたくしは早く、桃子お姉様にも公の女になっていただきたいのよわたくしたちの家族になれば、桃子お姉様のお寂しさは解消されるんだから
まり子は、ことある度に桃子姉ちゃんを勧誘している
ま、もう時間の問題だと思うけれどね後は、桃子お姉様と公、どっちが先に素直になるかだけだから
驚いて、まり子に聞き返す
そうよ公は、桃子お姉様のことをどう思っているの
じゃあ、質問を変えるわ公は、桃子お姉様とセックスしたいの
オレは、桃子姉ちゃんの身体のラインを思い出す
優雅で手足の長い18歳の身体
桃子お姉様のヴァージンは欲しくないの桃子お姉様に、公の赤ちゃんを産んで欲しいとは思わない
うん、セックスしてみたい処女はオレが破りたい桃子姉ちゃんに、オレの子供を孕ませたい
素直に答える
だったら早く、行動しなさいよわたくしにできることなら、何でも手伝ってあげるから
歌晏様も、こちらにいらっしゃるのならわたくしは、ますます桜子様のグループに入らせていただきたいと思います
ありすと可憐が言う
みすずは怖い、桃子姉ちゃんも怖いでも、桜子なら怖くないってことか
それは、あの
桜子様には、昔から優しくしていただいておりますから
3大名家の1つ狩野家の令嬢でも、家が傾いていた桜子は
他の名家の令嬢たちや、超お嬢様校の一般生徒たちに日頃から、気を遣って生活していたんだろう
そうでないと香月家や歌晏家に助けられている家格の高さだけが誇りの家の娘は、超お嬢様校で生きていけない
そうはおっしゃいますがわたくしは、こちらのお屋敷では新参者でございますし
桜子は、困惑している
わたくしは、グループを率いるようなことは苦手でございますそれに、香月みすず様や歌晏桃子様と対立するようなことになるのは困ります
桜子の実家の狩野家は当主だった桜子の父親が押し込められて、母親の実家の名家・神崎家とまり子の鳥居家が共同して復興させることになっている
その計画を裏から指示しているのは、ジッちゃんと歌晏さんだ
つまり、桜子自身も狩野家のことを考えたら、香月家や歌晏家には逆らえない
ですが、わたくしたちはこのまま、こちらのお屋敷で香月みすず様や歌晏桃子様の家臣になるのは嫌なんです
香月家と歌晏家に取り込まれるわけには参りません
ありすと可憐は言う
没落してしまったとはいえわたくしも、名家・鞍馬家の娘です
わたくしも水島家の娘としての誇りがございますから
香月家や歌晏家よりも、立場は下とはいえ名家は名家だ
どれけだけ香月家と歌晏家の家格が高いとしても臣下のように支配されるのは嫌なんだ
わたしもわたしの家は名家じゃないですけれど、みすず様や歌晏様は苦手です一緒のグループに入ったら、みすず様や歌晏様に毎日ペコペコしてないといけない感じがしますから
と言ってもここにいらしたら、桃子お姉様のグループなんて山田さんしか居ないんでしょうから、わたくしが所属して差し上げないといけないのよねお誘いした立場としては
まり子が、苦笑して言う
それを言ったら、みすずのグループだって美智しかいないじゃないか
えー、翔お姉様や麗華お姉様も居るじゃない
まり子が、大きな声で言う
香月セキュリティ・サービスの方たちは、みんな香月家の臣下なんだから
ああそういう認識なんだ
瑠璃子様が、克子さんのグループに入られたのだって香月家グループのトップが、みすず様に決まったからなんですよね
エリカが、オレに尋ねる
超お嬢様校の生徒の視線だとそう見えるのか
エリカは、オレたちのところに来てまだ日が浅いから家族の人間関係の詳細は知らないし
どういう問題が起きているかは大体判った
この秋から、オレたちの家族に参加した子たちで
超お嬢様校の生徒たちはみすずに対して、警戒したままになっている
それは、子供の頃からの香月家に失礼なことをしたら、家が潰されるぞと徹底的に教育されてきたから、香月家の娘に対して何かに付けて意識しまくっているんだ
その上、同じ香月家の娘でも、瑠璃子の方は克子姉やマナやメグたちと一緒に、お屋敷の家事をやっているから