みすずは、かなり落ち込んだ表情をしていた
こりゃ聞いていたんだな
まり子やエリカたちが自分のことをどう思っているかということを
オレは、みすずをギュッと抱き締める
みすずも、オレを強く抱き締め返した
ゴメンネあたしが嘘吐きなことは、みんな知っているからさだから、メグちゃんに嘘吐いてもらったんだよっ
確かに、同じことを寧がしたら部屋の中の子たちは嘘だと気付くだろう
しかし、生真面目なメグが訪ねてきたのだからまり子たちは、嘘だか本当なのだか判別不明になっているだろう
かといってここでミナホお姉ちゃんが乱入すると、大事になっちゃうしねっ
それも、その通りだ
ミナホ姉さんが突然顔を出したら、部屋の中の子たちが緊張してしまう
可奈センパイに、まり子に、エリカと茉莉花に可憐とありすと桜子
みんな、最近、オレの女になったばかりだから
まだ、ミナホ姉さんの重さには慣れていない
数分しか時間が無いから質問は手短にして下さい
ミナホ姉さんが栗宮素子さんに言う
では、簡潔に何故、黒森様は鳥居まり子さんたちが、みすず様に不満を持っているということを知って、何もなさらなかったのです
栗宮さんが、オレに尋ねる
この人さっきまでとは雰囲気が違う
あのお嬢様の穏やかさが消えている
黒森様のお立場なら彼女たちに、みすず様に恭順するように命ずることがおできになられるはずですわ
オレが、まり子たちに命じる
黒森様のハーレムの順列は香月家の令嬢である、みすず様が最高位に置かれるべきですわ明確なランク付けが無ければ、これだけたくさんの人たちがいるのですから正しく支配することはできませんわ今、こちらのお部屋で話されていたのは分派行動でございますこのままでは、幾つもの派閥が形成されお互いに対立し合うことになるとは思われませんか
そんなことにはならないよ
きっぱりと、オレは言う
なぜ、そう言い切れるのです
栗宮さんは、真剣な眼でオレを見る
オレが、みんなをまとめるからさ派閥に分かれて、ケンカするようなことには絶対にさせない
オレは、みすずを抱き締めたまま答える
そうはおっしゃいますが黒森様は、部屋の中の皆さんのお話をただ聞いているだけで即座に、適確な対応をなさろうとはしていませんでしたわ
ああ、大きな問題があることは分かったけれど対策は明日以降にするつもりだった
わたくしでしたら、今夜できることは今夜のうちに致しますが
ふうん、例えば
今度は、オレが栗宮さんに問い返す
他にも、みすず様に不満を感じている方がいらっしゃるかもしれませんし全員を集めて、集会を開きますわ
もう夜でみんな、自分の寝室に入ったのに
みすず様に関することですわこのまま放置しておかれるのはみすず様が、お辛いとはお思いになられないのですか
みすずは強い娘だこんなことぐらいで、へこたれたりはしないよ
みすずを強く抱き締めたまま言う
それに今はまり子たちの時間なんだあの子たちの当番をストップさせて、みすずのための緊急集会とかをやるわけにはいかないよそんなことをしたら、オレがあの子たちよりみすずのことを優遇したってたことになる
優遇なさるべきですみすず様は、香月家のご令嬢ですわ黒森様の正妻になられるべき方なのですから
オレは、自分の女に差は付けないよ
オレは、栗宮さんの眼を見て言う
それが納得できないのなら、栗宮さんたちはこのお屋敷には、残らないで欲しい
このお屋敷の中でのルールは、名家の世界とは違う栗宮さんの価値観を押し付けられるのは困るし嫌だよオレの女たちは、みんな誇り高いんだオレがみすずだけを優遇したら、他の子たちのプライドを傷付けることになるそんなことをするわけにはいかないそれに
この件はみすずが、自分自身の行動でジックリ時間を掛けて解消していかなきゃいけないことだ瑠璃子が半年掛けたみたいに、みすずも自分の香月家の娘だから怖いという印象を変えていくしかないんだ今から緊急集会をやって、オレがみすずと怖がるなって命令したって、みんなの心の中は変わらないよこれは、みすずが自分で克服していかなきゃいけない試練なんだオレは、サポートはするけれどオレが何とかしてやれることじゃないんだ
みすずが、オレの身体をギュッと抱く
みすずが香月家に生まれたという事実は変えられないし、今まで他の名家の子たちや超お嬢様校の生徒たちと接してきた過去は、もう変えられない今のみすずが、みすずの過去の影響を受けるのは仕方がないけれどそれでも、未来は変えられるんだからさ今からでも、少しずつみんなに理解してもらえるように努力していけば、きっと香月家のみすずは怖いっていうイメージを取り除くことはできるはずだいや、そうするしかないんだよすぐには無理だろうけれどたっぷり時間を掛けてさ
オレがみすずに、そう言うと栗宮素子さんは、ムッとして
黒森様のおっしゃっていることはキレイゴトですわ上から強い力で圧力を掛けなければ、世の人たちは従いませんこちらがどんなにお話しても、人はご自分が理解したいことしか、判ろうとして下さらないのですわ
ああ、そうだろうなオレの言っていることは理想論だキレイゴトだと思うよ
でも、だからって諦めるわけにはいかないんだよ人間は、死ぬまで、自分の理想に向かってジタバタし続けるんだオレはジタバタするよ、最後の最後までだから、みすずにもジタバタさせるっ闘い続けさせる
言った
生きているってことは、自分の過去とか運命とかと、永遠に闘い続けるってことだファイティング・ポーズを崩さずに、立ち向かい続けないといけないんだよっだから、みすずだって香月家の影とは延々と闘い続けなきゃいけないんだ
あたしが悪かったんですあたし自身、香月家の力で、自分が旦那様の1番になれるんだと錯覚していていました旦那様のすぐ隣に居させていただくことが、当然だと思い込んでいましたいい気になっていたんですあたし
みすずが泣きながら、言う
瑠璃子が努力している姿を見てきていたのにあたしは、みんなさんに溶け込む努力をして来なかっただから悪いイメージを持たれてしまったのは当たり前のことなんですあたしが、悪い子だったんですからごめんなさい
今のみすずさんの素直な気持ちをみんなに話してみたらどうかしら
メグが、そう提案するが
いや、言葉じゃダメなんだよこういうことは行動で少しずつ理解してもらうしかないんだ
旦那様のおっしゃる通りですわあたしどんなに辛くても、頑張ります
ああ、頑張れ応援するよ
オレは、もう一度みすずの身体を抱きしめる