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昼間の会話で同じ戦場にいたのだから接点はあるかもとは思っていたが硝子と紡が知り合いだとは。聞けば狩り場でも度々目撃していたらしいので、もしかしたら紡の方も硝子の事を知っているかもしれないな。

ともあれアイテム分配だ。

これはオンラインゲーム全体で言える事だが専用のシステムが無い限り、パーティーを組んだ場合、ドロップアイテムはメンバーで分けるのが基本だ。

ゲームによってはランダム分配で終わり、なんて事もあるので断言は出来ないが、どうやらディメンションウェーブは俺の良く知るアイテム分配形式の様だ。

残念ながらレアアイテムなどは入手していないので、普通に半分にして硝子に交換ウィンドウを表示させて渡す。

「お手数を掛けてもらってすみません」

「何、戦闘ではかなり硝子に依存していたからな。これ位は任せてくれ」

「はい、ありがとうございます。絆さんのおかげで金銭的に恵まれそうです」

「そう言ってもらえると組んだ甲斐はあるな」

解体武器様々だな。

ちなみに事前の打ち合わせ通り俺と硝子は意図的に解体武器の効果が分かる内容を口にしていない。いつ誰が聞いているか分からないからだ。

思ったがこれが普通のオンラインゲームなら攻略サイトとかで絶対に解体武器の効果が既に書かれているだろうな。

こういう所もセカンドライフって所なのかもしれない。

「さて、硝子はこれからどうする?」

「そうですね。あれから二時間程経過しています。ですからマナを振って、もう一度行こうかと。もしよろしければ絆さんもご一緒にいかがですか?」

言われて気付いた。

度々忘れるがスキル振りを俺は良く忘れる。

頻繁にステータスを開かないのも理由だが、これからは良く確認しよう。曲りなりにもスピリットというエネルギー&マナが重要な種族だしな。

「そうだな……そろそろ陽も落ちるが、理由でもあるのか?」

「八時、こちらでは20・00から翌朝に掛けてまでしか出現しない場所がありまして、エネルギー効率が大変よろしいんです」

「なるほどな……足を引っ張るかもしれないが、硝子さえ良ければ一緒させてもらうか」

「私は絆さんとなら喜んで同行しますよ」

そうして一時間の休憩を挟んで、もう一度狩りへ出掛ける事になった。

俺は一時解散の際に忘れないうちにステータスを確認する。

マナの振り忘れは困るからな。

名前/絆†エクシード。

種族/魂人。

エネルギー/19740。

マナ/1650。

セリン/109230。

スキル/エネルギー生産力Ⅷ。

マナ生産力Ⅴ。

フィッシングマスタリーⅣ。

解体マスタリーⅢ。

元素変換Ⅰ。

未取得スキル/エネルギー生産力Ⅸ、マナ生産力Ⅵ、フィッシングマスタリーⅤ、夜目Ⅰ、舵マスタリーⅠ、船上戦闘Ⅰ、クレーバーⅠ、高速解体Ⅰ。

取得していないスキルは七つだ。

舵マスタリーと船上戦闘は思い出すまでも無い。

夜目は名前の通り夜間に置ける視力低下を抑える効果と夜間戦闘における戦闘力に補正を掛けられる。取得条件は24時間以上夜に行動をしているだったか。

後ろ二つは昨日載っていなかったので、今日条件を達成したのだろう。

効果は……。

クレーバーⅠ。

解体武器の初級攻撃スキル。

骨や関節を切断する際に大きな追加ダメージを与える。

一回の使用に50のエネルギーを消費する。

取得に必要なマナ200。

獲得条件、解体武器によるモンスターの討伐数が100体を超える。

ランクアップ条件、解体武器によるモンスターの討伐数が500を超える。

高速解体Ⅰ。

解体武器の自己支援スキル。

一定時間、解体に掛かる時間を早める効果を自身に付与する。

一回の使用に100のエネルギーを消費する。

取得に必要なマナ300。

獲得条件、解体武器でモンスターを100体以上解体する。

ランクアップ条件、解体武器でモンスターを500体以上解体する。

どちらも戦闘やフィールドで使うスキルだ。

クレーバーは言うまでも無く戦闘スキルなので狩りには必須と言える。

度々硝子が攻撃スキルを使っていたがエネルギーを消費させていたのか。

後で感謝の言葉位掛けておかないとな。

思考を戻すが、高速解体はパーティーでは必須なのではなかろうか。

今回の狩りで一番困ったのは解体に掛かる時間だ。

その所為で何度も硝子を待ちぼうけにさせている。

解体で得たアイテムはお金になるのでしょうがないにしても、このスキルを取得するだけで多少補えるのだから必要になるはずだ。無論、パーティー以外にもソロで解体している最中に後ろから攻撃されたらたまらない。これは必須だろうな。

俺は迷わず二つとも取得する。

幸いにもこの二つは毎時間エネルギーを消費するタイプではなく、使用する毎にエネルギーを消費するタイプなので安心して取得できる。

マナは多少使うが、今は他のスキルに振る量も溜まっていないので問題ないだろう。

しかしエネルギーはMPの役割も担うとマニュアルに書いてあったが、これってかなり優秀だよな。

エネルギーさえ際限なく使えるならば、無限にスキルを使える事になる。

とは言ってもエネルギー効率の関係、乱発は避けたい所か。

本当戦闘に気を使う種族だな。スピリットという奴は。

硝子の経験談を参考にするに、些細な事で弱体化を招いてしまう。

無論、ボス戦で長時間耐えられたのは大量のエネルギーがHPの代わりとして機能した事から、エネルギーさえあれば耐久力も攻撃力もある万能種族だ。

しかし残念ながら使用できるエネルギーには限界がある。

これが一番のネックなんだろう。

節約を取るか、浪費による効率を取るか、それがこれからの課題か。

「さて、第二都市に来たんだ。時間まで川釣りでもしよう」

「すまん。遅れた」

偶然知り合いに遭遇して約束の時間を過ぎてしまった。

当然、少し遅れると一報入れたが、遅れた事実は変わらない。

「いえ、問題ありません。何かトラブルでもありましたか?」

「単純に知り合いにあってな。料理スキルを頼んでいたんだ」

以前アルトとの縁で知り合った料理スキル持ちの子だ。釣りをしていたら話しかけられた。なので釣れた魚を3匹譲るという条件で料理してもらった。